家庭菜園のノウハウ

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以下の内容はできれば実行することが望ましいものばかりですが、全てを実行するには無理があり、このうちのどれを採用するかは、皆さんの判断です。私自身も分かっていても時間がなかったり、面倒だったりして適当にやっているものもたくさんあります。要は楽しくやるのが一番であって、こうするべきだと気張り過ぎて神経質になってしまっては、せっかく楽しいはずの菜園作りも台無しで、本末転倒になってしまいます。そこのところを念頭に入れて参考にして下さい。
 
菜園に適する場所は

病気の予防(無農薬を前提)

代表的な害虫とその予防・対策

光との関係

種・苗の選び方

潅水

収穫野菜の保存法
土壌作り

害虫の予防(無農薬を前提)

栽培計画を立てよう

土壌水分(湿気)との関係

種蒔きと定植

支柱立て

種の保存法
肥料

代表的な病気とその予防・対策

温度との関係

土の酸度に対する野菜栽培の目安

間引き

連作について

農薬代わりに使える自然農薬
     
●菜園に適する場所は
  1. 日当たりの良いところ
  2. 風通しの良いところ
  3. 土壌条件の良いところ
  4. 潅水の便利が良いところ
  5. 排水・保水の良いところ
  6. 家に近く、管理・収穫のし易いところ
  7. 連作地でないところ(作ろうとする野菜の種類について)

但し、水はけや乾燥については、以下の工夫をすることである程度克服できる。

水はけの悪いところは、

  1. 高畝にして、周りに排水用の溝を作る。
  2. 団粒構造の土にして、余分な水がはけるようにする。

乾き易いところは、

  1. 平畝にして水分が逃げにくくする。
  2. 堆肥等の有機物を多く入れて、団粒構造の土にし、保水力を良くする。
  3. 水分が地表面から逃げるのを防ぐ為に、藁(わら)や刈り草、マルチを畝に敷く。
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●土壌作り
 良い土としては、
  1. 水はけ(排水力)・水もち(保水力)が良いこと
  2. 通気性が良いこと
  3. 病原菌や害虫がいないこと
  4. 中性から弱酸性の土
  5. 良くこなれて柔らかいこと
  6. 肥料分を適当に含むこと
 良い土を作る為には
  1. 冬の間に荒起こししておく。(土中の害虫や病気の原因となる細菌やウイルスの駆除)
  2. 台所の残飯や野菜屑等を畑に埋め込む。(肥料や有用な微生物の繁殖)
  3. 敷き藁や籾殻をまく。(分解されて土中に紛れることにより、通気性が良くなったり肥料となる)
  4. 化成肥料を控えめにし、有機肥料である堆肥や鶏糞、牛糞を主体とする。(有用な微生物の繁殖や微量元素の補給)
  5. むやみに消毒を施さない。(有用な土中生物や微生物も死んでしまう)
土性
 土は砂と粘土でできていますが、その砂と粘土が混ざり合っている割合のことを土性といいます。その土性の区分は下の表のとおりとなっています。

土性

粘土(%)

特     徴 通気性 排水性 保水力 保肥力
砂 土 12.5以下 ほとんど砂でさらさらとして、塊にならない 良い 良い 小さい 小さい
砂壌土 12.5〜25 多少粘土が混ざり、多少は塊になる やや良い やや良い やや小さい やや小さい
壌 土 25〜37.5 粘土が多少多く、不均質で塊になる 普通 普通 普通 普通
埴壌土 37.5〜50 粘土がかなり多く、多少均質でよく塊になる やや悪い やや悪い やや大きい やや大きい
埴 土 50以上 粘土が多く均質で非常によく塊になる 悪い 悪い 大きい 大きい

 粘土質が多い土(埴壌土、埴土)は水もちが良く、通気性や水はけが悪く、肥料が水に溶けても流失しにくいのですが、一方では一度乾くと固くかたまって湿りにくい土です。逆に砂土は排水性や水はけがよく、乾燥しやすくて肥料が水に溶けて流失しやすい土です。
 粘土質の土壌(埴壌土、埴土)の土性を改良するには腐葉土や有機質をたくさん施すこと、砂を加えることです。逆に、砂土は、黒土や赤土などの粘土質の土を混ぜたり、有機質をたくさん施すことによって野菜栽培に適した土になります。施す有機質の種類は草や稲わらなど比較的分解の早い堆肥よりも、バーク堆肥(木の皮を砕いて堆肥化したもの)のような分解が遅いものがより適しています。

 
野菜に適した土性
野菜の栽培に適した土性は野菜の種類によっても違いますが、概ね水分や通気が適度に保たれる砂壌土壌土です。良い野菜を作るためには、こうした土性と野菜の特性を良く理解してその畑にあったものを作付することが大切です。

土性

種          類
砂壌土 キャベツ、かぶ、ほうれん草、アスパラガス、レタス、にんじん、ジャガイモ、サツマイモ、山芋、しょうが、春菊
壌 土 トマト、ナス、ピーマン、きゅうり、いちご、かぼちゃ、エンドウ豆、ソラマメ、ごぼう、白菜、大根、ブロッコリー、カリフラワー、小松菜、青梗菜、タアサイ、水菜、オクラ、とうもろこし、ねぎ
埴壌土 わけぎ、にんにく、らっきょう、玉ねぎ、芽キャベツ、クワイ、せり
 
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●肥料
3要素と5要素
「チッ素、リン酸、カリ」を肥料の3要素といいます。
 チッ素は葉肥(はごえ)と呼ばれ、野菜の葉や茎の成長にとって重要な養分で、特に葉菜類には欠かせない肥料です。しかし、与え過ぎると大きく軟弱に育ち、病害虫にもかかりやすくなるので注意する。水に溶け易い性質の為、雨等によって流出します
 リン酸は実肥(みごえ)といって、開花・結実に大きな作用を及ぼし、生長初期に特に必要とされるので、追肥よりも元肥に施すようにする。果菜類または根菜類に特に不可欠な要素です。
 カリは根肥(ねごえ)ともいわれ、根の発育を促進し、耐寒性・耐病性を高める作用があるので、栽培の全期間必要です。特に根菜類の成長には重要な肥料です。

以上の3要素のほかに、根の生長促進や土の酸性度を調整するの為のカルシウム(消石灰)と葉緑素の成分となり光合成を促進するマグネシウム(苦土石灰)の2つを加えたものを肥料の5要素といいます。

どの要素が欠けても野菜の成長に少なからぬ影響があるが、かといって肥料を与え過ぎたり、特定の要素に偏ったりしても良くありません。これらの要素をバランス良く与えることが良い野菜を育てるコツです。

 
16要素
野菜栽培には、上記の5要素のほかに、その成長に大きな影響を持ついくつかの肥料分が必要です。それは全部で16の種類があり、16要素と呼ばれます。野菜の生長に必須という意味で、必須元素とも呼ばれます。
窒素、リン酸、カリ、カルシウム、マグネシウム、鉄、硫黄、酸素、炭素、水素の10要素は割と多くの量を必要とするので、多量元素と呼ばれます。これに対して、銅、亜鉛、塩素、マンガン、ホウ素、モリブデンの6要素は少量で良いので、微量元素と呼ばれます。これらのうち、水素、酸素、炭素は水と空気より供給されるので、特に与える必要はありません。また、微量要素も土中には十分含まれるので、これも意識する必要はありません。肥料として与える必要があるのは窒素、リン酸、カリの3要素です。参考迄に、下表で植物細胞を構成する基本要素である炭素、水素、酸素以外の各要素の働きを示します。

要素

働        き

窒素 成長促進、特に葉茎の生長に効く。欠乏すると葉が黄色化すると共に、成長が鈍化して小型になる。過剰になると葉ばかりが成長し、結実しない(つるボケ)ことになる。また、軟弱で病気に罹り易い。
リン酸 植物中の核酸・酵素の構成要素で、根の伸長や開花結実の促進に関与。欠乏すると根の発育や着花結実が、不良となる。
カリ 根の発育を早め、根や茎を丈夫にする。欠乏すると葉の中心が濃い緑色で縁が黄色化する。
カルシウム 細胞分裂や細胞の成長に関与。欠乏すると葉の縁が未発達となる。また、有機酸等の有害物質と結びついて、これを無害化したり、根の発育を促進する等により、病害に対する抵抗力を強くする作用もある。
マグネシウム 葉緑素を構成する主要素で、酸素の活性化に関与する。欠乏すると古い葉から葉脈間が黄色化する。また、蛋白質、脂肪の合成に必要な元素で、植物の新陳代謝を盛んにする。
硫黄 蛋白質、アミノ酸、ビタミン等の構成要素。欠乏すると葉の生長が阻害され小型化する。また、葉緑素の生成を助ける働きもある。
葉緑素の生成に関与。
植物体内の酸化還元に関係する銅酵素の構成要素。酸化還元反応、蛋白質の代謝に関与。
亜鉛 細胞壁の保護に関与。また、植物体内の各種酵素の構成要素となる。
マンガン 光合成に関与。植物体内の酸化還元酵素の働きを強め、葉緑素や蛋白質の生成を助ける働きがある。
ホウ素 開花結実に関与。また、細胞膜の形成維持や水分、炭水化物、窒素の代謝にも関係する。
塩素 光合成に関与。
モリブデン 植物体内の酸化還元酵素の構成要素となり、根粒菌の窒素固定、硝酸還元に関係。
 
肥料のやり方
@元肥
種を蒔いたり苗を植え込む前に施す肥料のことで、ゆっくりと効き、効果が持続するものを肥料として施す。堆肥(家畜糞を主体とするものとバーク堆肥や腐葉土等の植物性堆肥がある)や油かすや骨粉、鶏ふん等の有機質肥料を主体とする。
A追肥
成長時期の途中で成長の度合いや必要に応じて施す肥料のことで、無機質肥料である肥料の3要素を配合した粒状の「化成肥料」や有機質肥料と無機質肥料を配合した「配合肥料」、水にとかして施す「液体肥料」等がある。液体肥料は潅水もかねてやれるので便利です。効き方は種類によって即効性、遅効性、緩効性と様々です。
 
無機質肥料は有機質肥料と違って、多く使うと肥料やけで根を傷めたり、土中の微生物が死滅して土質を悪くしてしまうので、多用を避ける。
 
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●病気の予防(無農薬を前提)
せっかく自分で栽培するのですから、多少見栄えが悪かったり収穫が少なかったりしても、安全なものを食べたいと思います。そこでなるべく消毒をしない工夫をしよう。
 
原因
  1. アブラムシや作業中の人の手や病気の葉、土壌等から伝染するウィルスによるもの
  2. 土や雨水、病気の葉や枯れ葉等から伝染するバクテリア(細菌)類
  3. 菌糸が成長しながら次々に胞子を作り、空気や水によって移動して伝染するカビ類
  4. 土の中に住んで多くの作物の根に寄生して養分を奪うネマトーダ(線虫)等
予防のポイント
  1. 野菜の種類にあった蒔き時や栽培時期を守る。
  2. 株間を空けて風通しを良くする。
  3. 連作を避ける。(同じ野菜や同じ科の野菜を連続して同じ場所で作付けしない)
  4. 日光の良くあたる場所に植えつける。
  5. 病気に強い品種を選ぶ。
  6. 肥料のやり過ぎや偏りをなくする。とくにチッソのやり過ぎは避ける。(軟弱に育ち易い為)
  7. 株の周囲を清潔にする(特に雑草は病気や虫の巣となっていることが多いのでこまめに除草する)。
  8. 枯れたり病気になった葉は早めに除去する。
  9. 接ぎ木苗を利用する。
  10. 厚まき、密植は避け、日当たり、風通しを良くする。
  11. 用土の過湿を避け、泥ハネを防止する。(ポリフィルムでトンネルがけしたり敷きわらをする)
  12. 傷口から病原菌が侵入するので間引き作業等で茎葉を傷つけないようにする。
  13. ウイルス病を媒介するアブラムシ等の害虫を寄せ付けない。(寒冷紗等で被う)
  14. 土壌は清潔で、水はけが良く肥料もちの良い土作りをする。(堆肥を施して団粒構造(注)の土作り)
  15. 早期発見と対処が一番。病気のきざしが見えた葉はすぐ取り除き、すでに害が広がっていれば、その株全てを抜き取ってしまう。
  16. 天地返し(深掘りをして表面の土と底のほうの土を入れ替える)の実施。

    (注)団粒構造とは土の粒子が集まって団子状になっているもので団粒になることで土の間に隙間ができる為、通気性、排水性に優れる。
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●害虫の予防(無農薬を前提)
せっかく自分で栽培するのですから、多少見栄えが悪かったり収穫が少なかったりしても安全なものを食べたいと思います。そこでなるべく消毒をしない工夫をしよう。
  1. 小さいものはこすり落とし、大きいものは手で取り除く(直接手でとっても良いが気色悪い時は軍手をしたり、ピンセットや割り箸を利用)。特に卵は葉裏に産み付けられているので、葉を傷めない様あまり力を入れないで良く擦り取ります。
  2. 防虫ネットを張ったり、寒冷紗、シルバーフィルム等を使って予防する。但し、気温が高くなると作物が徒長してしまったり、小さな害虫は隙間から侵入することがあるので留意する。
  3. 夜間に活動するヨトウムシやナメクジ類は、懐中電灯を持って見つけ出だし、除去する。
  4. 幼生苗が茎ごと切り取られている時は、必ずといって良いほどヨトウムシが根元に居るので、掘り起こして捕殺する。
  5. 色で害虫を忌避させる。
    アブラムシは黄色を好み、銀色を忌避する性質がある。シルバー寒冷紗やシルバーポリフィルム等が市販されているので、利用も考慮する。黄色いハエトリリボン状のものも売られていて、これを畑に吊しておくと、アブラムシ、ハエ類が誘われてテープにくっつく。
  6. 餌でおびき寄せる。
    ビールはナメクジ、カタツムリの大好物で、深めの容器に入れて地面すれすれに埋めておくと、夜集まってきて、落下しておぼれ死にする。ダンゴムシはジャガイモを好むほか、収穫後の野菜くず(キャベツの葉等)にたくさん集まるので、これらを利用して捕殺する。
  7. 夏の暑い時にはダンゴ虫やナメクジは日陰の涼しいところや湿り気のあるところに集まるので、敷き藁や収穫後の野菜くずの下を覗いて除去する。
  8. アブラムシは牛乳を霧吹きに入れて吹きかける。牛乳が乾燥すると虫の表面に幕を張って殺します。また、牛乳の代わりに石鹸水を利用する手もあります。
  9. 虫が嫌う、ニンニク、ネギ、ニラ、マリーゴールド等の野菜や花を周辺に植える。
  10. 消毒の代わりに木酢液や竹酢液を使用する。
  11. 虫の発生源となる収穫後の野菜屑等を畑に放置しない(畑を清潔に保つ)。

このように農薬を使わないで害虫の被害を少なくする方法は色々ありますが、肝心なのは早めの処置です。虫害が発生したら早めに捕殺しましょう。皆さんもぜひ試してみて下さい。

 
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●代表的な病気とその予防・対策
野菜は野生種を改良したりして人工的に作り出された植物ですから、雑草と違って軟弱でその栽培過程においては、色々な病気が発生します。そして、その病気には発生する条件や症状等に一定の特徴があり、野菜の種類に対応して発生する病気も決まっています。
また、病気は主に土壌中の微生物によって引き起こされますが、その原因となる病原菌には大きく分けて(1)カビ類(2)細菌類(3)ウイルスがあります。そのうちの大部分はカビの仲間です。
ここには、そうした病気のうち代表的なものを取り上げ、症状や発生の原因・条件及びその予防と対策について無農薬を前提に纏めたので参考にして下さい。
病名 症状や発生原因等

予防と対策

作物の例

青枯病 ●盛夏の頃から病状が現れ、株全体または一部が、青いまま萎れる。数日間ぐらいは、朝夕や雨の日は回復するが、やがて回復しなくなって枯死に至る。
●病原菌は細菌で土中に残存し、水やりや雨水で土壌中を移動し、根の傷口から侵入する。
●発病は20℃を越える頃から始まるが、夏期高温時に発病が多い。
●発病株は見つけ次第土と共に抜き取る。
●耐病性台木に接いだ苗を利用する。
●抵抗性品種を利用する。
●土壌消毒(熱水、太陽熱等)する。
●移植の際等、根を痛めないように注意する。
●連作を避ける。
●水遣りを控えて菌の拡散を防ぐ。
●高畝にして、排水性を良くする。
●敷き藁等で地温の上昇を抑える。
●にんにく、玉ねぎ、らっきょう等の共栄植物と一緒に植える。
トマト、ピーマン、ナス
萎黄病 ●苗の葉が萎れて枯死する。肥大時期では下葉から黄化し、株の生育が劣って小さくなり枯れる。葉には褐色の小斑点も見られる。
●根腐れを起こし、茶褐色に変色腐敗する。
●カビの一種のフザリウム菌による病害で、菌が土壌中に残り伝染する。
●地温20〜28℃で多発し、湿度には関係がない。5〜10月に発生が多い。
●連作すると多発しやすく、また温度の高い時期に良く発病する。
●窒素肥料を多用すると苗が軟弱となり、病気が発生しやすくなる。
●YR(萎黄病抵抗性)品種を選ぶ。
●病気に罹った株は早めに除去する。
●連作を避ける。
●敷き藁等で地温の上昇を抑える。
●窒素肥料を控えめにする。
●土壌消毒(熱水、太陽熱等)する。
●健全な株を定植する。
大根・キャベツ・かぶ・小松菜等のアブラナ科作物、ほうれん草、ニンジン、イチゴ
うどんこ病 ●普通、下葉から発生する。葉や茎の表面に、うどん粉をまぶしたように白いカビが一面に生え、変形したり枯れたりする。
●カビの一種であるうどんこ病菌の胞子が、風で運ばれ寄生して発病する。
気温が25〜28℃で、湿度50〜80%の時に発生し易い。
●一年中発生するが、春と秋に多発する。

●樹勢の弱る果実肥大期から収穫期にかけて発病し易い。
●夜間の湿度が高く、昼間は乾燥すると発生し易い。昼夜の温度差が大きい時も発生し易い。
●日当たりが悪かったり、肥料の効き過ぎも発病を助長する。
●密植を避け、日当たりと風通しを良くする。
●葉が茂り過ぎないように剪定によって予防する。
●病気になった葉は早めに除去する。
●窒素肥料を控えめにする。
●葉の表面に水を散布する。
キュウリ、かぼちゃ、メロン、エンドウマメ、ダイズ、イチゴ、ニンジン、ナス
疫病 ●茎では水浸状の暗緑色の病斑ができ腐敗して、そこから上方は枯れる。葉では不正形水浸状の暗褐色または緑灰色の病斑ができ、落葉しやすくなる。多湿時には軟腐し、乾燥時には乾枯してもろく、病斑が破れやすくなる。果実では幼果や未熟果が侵されやすく、丸いくぼんだ水浸状暗褐色の病斑ができ、次第に拡大して暗緑色または暗褐色になって腐敗する。湿度が高い時には灰白色綿毛状のかびが生え、悪臭を発する。
●カビの一種で病原菌は、卵胞子と呼ばれる特殊な胞子の形で土壌中に2〜3年間生存する。卵胞子は、適温と水分を得ると遊走子嚢(ゆうそうしのう)をつくり、この遊走子嚢から遊走子(べん毛を動かして水中を自由に泳ぎまわることができる胞子)を放出して水中を泳いで分散し、気孔や傷等から侵入して伝染する。また、雨等の水滴によって飛散し、蔓延する(二次伝染)。湿度や雨が発病に大きく関与している。
●病気の発生や蔓延には水が大きな役割を果たすので、排水不良地で発生し易く、浸冠水で多発する。
●発病の適温は24℃前後で、6〜7月の梅雨期と10月以降雨が多いと多発する(高温多湿の時に発生が多い)。
●酸性土壌の畑で発生し易い。
●果実が直接地面に触れると発生し易い。
●窒素質肥料の過多は、作物を軟弱にし、発病しやすくなるので注意する。
●高畝にして、排水を良くする。
●敷き藁等により泥はねを防ぐ。
●連作を避ける。
●病気にかかった株は早めに除去する。
●ジャガイモは健全な種いもを使用する。種芋を自家採取し続けていると、病気の発生が多くなる傾向がある。
●土壌の酸度を中和する。
●虫の食害を受けた痕から発病するので、害虫の防除に努める。
●窒素過多を避ける。
●日当たりや風通しを良くする。
ナス、ピーマン、トマト、じゃがいも、キュウリ、メロン
褐班病 ●斑点病の一種で、葉に小さな淡褐色の斑点が現れ、下葉から枯れ上がる。
カビの一種で湿度を好む菌なので、霧や露によっても感染する。
日当りや風通しを良くする。
●気にかかった株は早めに除去し、焼却する。
キュウリ、えんどう豆、落花生
菌核病 ●茎では、枝分かれしている部分から発生することが多く、水浸状の病斑ができて、そこから上の部分は萎れて枯死する。やがて白い綿状の菌糸が多数でて腐敗し、被害が進むとネズミの糞状の菌核を形成し、褐色から黒色に変色する。
●果実、茎、葉に発生する。
●土壌伝染性で菌核が地表面や土中で生存し、発病する。多湿条件下で発生が多い。
●3〜5月と9〜11月は子嚢盤の形成に好適な温度( 20℃前後)である為、この時期に降雨が続くと湿度条件も重なり、発生が多くなる。
●春先や晩秋に発生が多く、夏期高温時の発生は少ない。
●敷き藁等により、泥跳ねを防ぐ。
●病気にかかった株は、早め(菌核を形成しないうち)に除去する。
●菌核は数年で死滅するので、天地返しで土中深くに病原菌を埋めるのも有効。
●夏期に湛水すれば、菌核は死滅する。
キャベツ等のアブラナ科、レタス等のキク科、キュウリ等のウリ類、ナス
黒腐病 ●主に葉に発生する。下葉から発生し、葉の縁がV字形に黄変すると共に、この部分の葉脈が黒く変色する。病斑が古くなると乾燥して破れやすくなる。
●土壌伝染病性の細菌病である。雨滴等で葉上に運ばれ、葉の傷口等から侵入する。二次伝染は病斑部の病原菌が雨風で飛散して起こる。種に付着して種子伝染することもある。
●育苗期に大雨があったり、5月と9〜10月頃が低温多雨の場合には発生が多い。
●降雨、虫害、台風等により株が傷つくと、病気の蔓延が助長される。
●アブラナ科作物を連作すると多発し易い。
●高畝にして、排水を良くする。
●病気にかかった株は早めに除去する。
●移植時等苗を傷つけないように注意する。
●敷き藁等により泥跳ねを防ぐ。
●抵抗性品種を利用する。
●害虫の食害等の傷口から感染するので、害虫の防除に努める。
キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー等アブラナ科作物
さび病 ●カビの一種であるさび菌の寄生により起こる。葉や茎に最初は、白い小斑点を生じ、やがてその部分が盛り上がってきて橙黄色の鉄さびのような隆起した斑点(胞子)がたくさんでき、中からさびに似た粉が飛ぶ。やがて葉が枯れる。
●胞子の発芽と形成は24〜27℃が適温で降雨量の多い時に多発し、肥料切れ等で発病が助長される。
●病気にかかった株は早めに除去する。
●日当たりと風通しを良くし、
過湿にならないように注意する。
●肥料切れに注意する。また、
チッ素過多だと軟弱に育ち病原菌に感染しやすくなるのでバランスの良い肥料で丈夫に育てる。
●可能ならば周囲に溝を掘るなどして植わっている部分の土の水はけをよくする。
●雨がかからないようにビニールなどで雨よけを施す。
●密植を避ける。
●雑草はさび病菌の中間寄主(さび病の病原菌は寄生先を変えるという特徴があり、雑草が野菜に取り付く前の中間寄生植物となる)となるので、こまめに除草する
ねぎ・タマネギ・ニラ・ニンニク等ねぎ類、シソ、インゲン、エンドウ、アスパラガス
炭素病 ●葉や茎、花、果実等様々な場所で発生する。
●葉に水浸状で円形の小斑点ができ、やがて直径2〜10mmに迄拡大し、灰色ないし淡黄色の輪郭のはっきりした病斑となる。病状がさらに進むと病斑上には小さな黒い点が密生するようになる。その後、病斑部は腐敗し、乾くともろくなって破れる。茎では地際に淡褐色のへこんだ病斑ができ、その上部は枯死する。果実が落ちたりする。
発育適温は20〜30℃で、高温を好む
●5月から10月にかけて雨の多い時期に日照不足により発生し易い。
●カビの一種で風等で伝染する。
●過繁茂、密植、土壌の過湿、多肥は発病を助長する。
●病気にかかった株は早めに除去する。
●葉や果実は深く埋めるか、焼却する。
●高畝にして、排水を良くする。
●敷き藁等により泥跳ねを防ぐ。
●連作を避ける。
●日当たりと風通しを良くする。
●抵抗性品種を利用する。
スイカ・キュウリ等ウリ科の作物、アスパラガス、イチゴ、ほうれん草、
つる割れ病 ●最初は蔓の基部に水浸状の褐色病斑ができ、表皮のひび割れ部分から赤褐色のヤニが出る。場合によっては、白色ないし淡桃色のかびが生える。やがて葉が萎れ、下葉から黄化枯死する。根はあめ色に変色し、ぼろぼろになる。
●葉では主に葉縁や葉柄、葉脈が侵されやすく、円形または楕円形の淡褐色ないし灰褐色で、境界のはっきりしない大型の病斑ができる。
●連作により土壌中の病原菌密度が年々高まることが、発生の大きな原因と考えられる。病原菌は土壌伝染と種子伝染によって広がる。
●カビの一種で菌糸や胞子は、土壌中で数年間生き延びて苗の根の先端や傷口から侵入する。菌糸は導管のなかを上方に向かって伸び、果実内部迄達すると、種子伝染のもとになる。
●高温多湿の時に蔓延し易い。
●土壌が極度に乾いた時や酸性土壌で多発する。
●窒素肥料の偏り、肥切れ、植え傷み、センチュウ類の加害等は被害を大きくする。

●連作を避ける。
●ゆうがおやかぼちゃに接木した苗を用いる。
●土壌消毒をする(熱水、太陽熱等)。
●作付け前に必ず土壌を中和する。
●高畝にして、排水を良くする。
●病気になった株は早めに除去する。
●移植の時は、根を痛めないように注意する。
●過湿にならないように、風通しを良くする。
●敷き藁等をして、泥跳ねを防ぐ。
●株元の葉を摘み取り通風を良くする。
●日当たりを良くする。
にんにく、ネギ、ニラ等の共栄植物と一緒に植える。

メロン・スイカ・キュウリ等ウリ科の作物
軟腐病 ●幼苗期では地際部が水に濡れたように腐敗し、やがて萎れて枯れる。
●葉および根頭に発生する。初め地面に接する葉に水浸状の小斑点ができ、次第に広がり外葉が白茶けて枯れる。やがて株全体が軟化腐敗して、どろどろになる。又、腐敗した部分は悪臭を放つ。
●土壌伝染病性の細菌病(バクテリア類)で主に根の周辺に生存し、傷口等から侵入する。病原菌は風雨等により飛散し、二次伝染する。従って、台風及び秋雨の後や害虫の食害を受けた場合に、発生し易い。
●生育最適温度は30℃前後である。
●比較的高温の多湿条件下で多発する。
●排水不良、窒素過多の時等にも発生が多い。
●高畝にして、排水を良くする。
●病気にかかった株は早めに除去する。
●敷きわら等により泥跳ねを防ぐ。
●窒素肥料の施し過ぎに注意する。
●密植を避け風通しを良くする。
●連作を避ける。イネ科、マメ科等と輪作すると良い。
●雨の日に収穫、芽かき等の作業を行わない。
●ふだんは雑草の根の周り等にいるので、近くに雑草を生やさないようにする。
●害虫の食害等の傷口から感染するので、害虫の防除に努める。
大根、カブ、ハクサイ、キャベツ、トマト、ピーマン、レタス、ニンジン、メロン
根こぶ病 ●地際近くの根に大小のこぶが多数できる。この病気に罹った株は生気を失い、最初は晴れた日には茎葉が萎れ、最後には枯死することが多い。被害根はやがて褐色に変わり、二次的に寄生する細菌により腐敗し、悪臭を放つことがある。ネコブセンチュウの被害の場合は、根全体に発生しこぶも小さいので、本病気と区別できる。
●かびの一種で病原菌は、被害根や土壌で数年間生存し、雨水や土壌の移動等により伝染する。
●日照時間が長く(13〜16時間)、地温が高い(20
〜25)と発生し易く、水分を好む為、低湿地や排水の悪い畑で発生が多い。
●酸性土壌は発生を助長する。
●高畝にして、排水を良くする。
●病気に罹った株は早めに処分する。
●連作を避ける。
●日当りや通風を良くする。
●消石灰等で土壌を中和する。
●アブラナ科の野菜の連作を避ける。
●CR(根こぶ病抵抗性)品種を利用する。
●土壌消毒(熱水、太陽熱等)をする。
ハクサイ・カブ・キャベツ・大根・小松菜等アブラナ科の作物
灰色カビ病 ●花弁、蕾や茎葉等に灰色のカビが生える。特に花の被害が目に付く。
●菌は低温多湿を好むので、真夏でなく、春先や梅雨、秋口等温度の低い湿度のある時期に発生する。
●樹勢が衰えたり、化学肥料のやり過ぎで弱ってしまうと、感染し易くなる。
●傷口や枯死した部分から侵入する。
●密植し過ぎて、軟弱な成長になると発生し易い。
●窒素肥料は控えめにする。
●繁殖力が強く、感染は早いので、病気に罹った葉や実は直ちに除去する。
●風通しを良くして過湿を避ける。
●食害された傷口等から感染するので、害虫の防除に努める。
●敷き藁等で泥跳ねを防止する。
●トマト、キュウリの場合は、受精を終わった花の花弁を摘み取り、病原菌の侵入を防ぐ。
トマト、なす、キュウリ、イチゴ
斑点病 ●カビの寄生によって葉に褐色の小さな斑点状の病斑ができ、次第に大きくなって生育が不良となり、やがて下葉から黄化して枯れる。
●斑点の形や色から、輪紋病、角斑病、K斑病、褐斑病等の病名がある。
最適温度は25℃前後で春から秋にかけて発生する。多湿条件下では発生が多くなる。
空気中の湿度が高い時に病斑の上に大量の胞子を作り、風や雨の飛沫等と共に飛び散って、伝染する。
●病気に罹った葉や枯れ葉を取り除き処分する。
●整枝により風通しを良くする。
ピーマン、唐辛子
べと病 ●土壌中に生息し、下葉から発生する。はじめ輪郭のはっきりしない黄色の斑点が現れ、しだいに大きくなると葉脈の間に淡褐色、不正形の病斑ができ、やがて枯死する。
●耐久性カビの一種で、病原菌は菌糸または卵胞子という強い特殊な胞子をつくる。これが風によって周囲に飛ばされ、葉上に伝染する。
●多湿で20〜24℃の気温で多発する。従って、降雨が比較的多く、気温が低くなる秋、あるいは春に発生が多い。
●日照不足、多湿、低温傾向、肥料切れや
果実の生り過ぎ等、草勢が弱った時にも発生が多くなる。
●胞子の飛散、発芽及び侵入には水滴の果たす役割が大きく、梅雨期に多く発生する。
●密植し過ぎた場所に多く発生する。
●高畝にして、排水を良くする。
●種をまく量を少なくする等、密植を避ける。
●病気に罹った株は早めに処分する。
●古い種子を用いる。
●連作を避ける。
●抵抗性品種を利用する。
●イネ科作物と輪作すると良い。
●株間或いはうね幅を広くとり、日当たりや風通しを良くする。
大根・白菜・キャベツ等アブラナ科の作物、キュウリ・メロン等ウリ科の作物、玉ねぎ、ほうれん草
モザイク病(ウィルス病) ●特徴は新葉の縮れ、奇形化、株全体の黄化萎縮、葉脈透化、斑紋、モザイク等である。
●ウィルスによって起きる病気で、アブラナ科や雑草等の被害株を加害したアブラムシが、主にこれらのウィルスを運ぶ役割をする。一般的には、種子伝染することはなく、土壌伝染もしない。
●媒介昆虫であるアブラムシの発生に左右される。アブラムシは8〜9月にかけて高温乾燥すると発生が多くなるので、秋作では早播きしたり、播種後高温乾燥が続くと発病が多くなる。
●病気に罹った株はできるだけ早く抜き取る。
●ウイルスを伝搬するアブラムシを防除する。
●モザイク病防止マルチやCD、銀紙等でアブラムシを忌避する。
●寒冷紗を播種時から使用すると被害が減る。
●周辺の雑草(特にアブラナ科、アカザ科草)は、アブラムシの飛来源となるので除草する。
●耐病性の強い品種を栽培する。
●収穫等に使用するハサミやナイフ等を使用前に熱処理する。
●連作を避ける。
ダイズ、トマト、ピーマン、キュウリ、かぼちゃ、キャベツ、大根、白菜、ほうれん草
 
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●代表的な害虫とその予防・対策
野菜には、様々な害虫が集まり、あらゆる部位を加害します。これらを防除するには、消毒が一番手軽で手っ取り早いのですが、消毒は劇薬であることが多く、人体にとっても悪影響があるので、できれば使用を避けたいものです。また、害虫には集団で発生するものやあまり目立たないものも多く、その防除が困難な場合も多々ありますが、少しでもその被害を減らす為の努力は必要と考えます。
そこで、ここでは代表的な害虫を取り上げ、その特徴と無農薬を前提として考えられる予防と対策について紹介します。
害虫名 生態や特徴等

予防と対策

作物の例

アオムシ ●幼虫は体全体が緑色で、体表には短い毛が密生している。
●春から秋にかけて年間5〜6回連続して発生する。卵は葉裏に1粒ずつ産み付けられ、3日ほどで孵化し、約15日ほどで蛹化する。
●10月頃になると終齢幼虫は樹木や塀等の風の当たらないところに移り、蛹化して越冬する。
●アブラナ科の植物、中でもキャベツを好んで食害する。
●食害部近くの葉上にみられるのが特徴で、ヨトウガのように結球内部に食入することもなく、大きな移動もしないので、比較的駆除がし易い。
●発生量は降水量、気温に大きく影響されるる。前年の秋期に降水量が少ないと春期(4月〜5月)の発生密度が高くなる傾向がある。
●葉裏を丁寧に探して卵を取り除く。
●発生回数が多く、発生する時期も長いので、常に注意を怠らず、小さいうちに捕殺を心がける。
●寒冷紗や不織布を利用して、成虫の飛来を防ぐ。
●青い糞があるとその近くにいることが多いので、目印にして探す。
キャベツ、ダイコン、ハクサイ等アブラナ科
アブラムシ ●体長は2〜4mm程度の種類が多く、緑、赤、黒、茶、黄色等様々な体色のものがある。
●4月頃から発生して6月頃には発生のピークとなり、その後やや減少して9月に再び多くなる。晩秋になると有翅型が現れて、冬寄主に移動する。
●成虫や幼虫が芽や茎、葉裏等、あらゆる部位に群生して吸汁被害を与える。作物が萎縮して生育が止まってしまうこともある。
●高温で晴天のが続くと発生が多くなる。
●非常に繁殖力が旺盛で、春から秋迄は雌だけで繁殖(単為生殖)して世代を繰り返す。
●モザイク病の原因となるウイルスを媒介する。
●アリと共生関係にあり、アリの好む甘い排泄物を出す。アリは甘い汁を貰う代わりに、アブラムシを天敵から守っている。
●シルバーポリマルチフィルムを利用して、成虫の飛来を防ぐ。
●アブラムシの天敵(テントウムシ、カゲロウ、ヒラタアブ等)を利用する。
●アルミホイルやCD等の光るものを回りに設置する。
●育苗期は苗を寒冷紗で覆い、成虫を遮断する。
●手や歯ブラシ等で注意深く、こすり落とす。
●タバコの吸殻を水につけてできたニコチン液や、唐辛子を焼酎に漬け込んだ溶液をスプレーする。
●石鹸水あるいは牛乳をスプレーする。牛乳や石鹸水は幕を張って窒息死させる。
●木酢液をかける。
アブラナ科、ウリ科、ナス科等多種
アワノメイガ ●幼虫は体長20mmほどで、体色は淡褐色ないし暗褐色で、頭部が黒または暗褐色である。蛹は体長10〜15mm程度で褐色または暗褐色をしている。成虫は体長約15mmの三角の形状をした蛾である。
●4月頃から10月にかけて数回発生を繰り返し、加害場所や樹皮の割れ目等で幼虫や蛹の状態で越冬する。
●幼虫が茎や雌穂に食入する。食入孔から糞や噛み屑を出すので、それとわかる。
●8月中旬以降に収穫する品種や作付けでは被害が多い。
●卵塊で産卵される為、若齢幼虫期の被害株や雄穂を早めに抜き取る。
●草花や野菜では枯れた茎の中にいるので、放置せずに処分する。
ナス、トウモロコシ、アワ、ヒエ、キビ、ショウガ
イラガ ●幼虫の体色は各種とも基本的に緑色で、種類によっては独特の斑紋がある。体には毒を持った刺があり、触れると激しく痛む。
●冬期にはウズラの卵を小さくしたような繭を枝につくる。繭は枝の又状になった部分に作られることが多く、硬い石灰質で灰白色をしている。
●幼虫の発生時期は6〜7月と8月中旬〜9月である。
●葉を食害する。イラガは孵化幼虫が1頭ずつ葉に寄生して葉裏から葉肉を浅く食べるので、葉表から見ると白い斑点となって見える。生長した幼虫は葉脈や葉柄だけを残して葉を食べる。
●成虫は夜行性で夜間に交尾・産卵し、昼間はほとんど活動しない。
●割り箸等を使い、幼虫を捕殺する。
●冬期に枝についた繭を取り除いて焼却する。
カキ、クリ、サクラ
ウリハムシ(ウリバエ) ●成虫は体長7〜8mmで、背面が橙黄色、腹面が黒色の甲虫である。幼虫は体長約10mmの円筒形で淡黄白色、頭部は褐色のウジのような虫である。
●成虫で越冬する。枯草の下や石垣の隙間等で越冬した成虫は、平均気温17℃前後になる4月下旬〜5月上旬から活動を始める。
●ウリ類の主要な害虫で、成虫による食害は4月下旬頃からみられ、ピークは5月下旬〜6月である。葉にきれいな円形の食害痕をのこす。ひどい場合には葉がぼろぼろになり、苗の生育が遅れたり、枯死したりする。
幼虫による被害は6月下旬から7月に多く、主に根を食害する。最初は細い根を食害し、成長するにつれて太い根を加害するようになる。ひどい場合には萎れて枯死する。
●幼苗期にはビニールキャップや寒冷紗で成虫の飛来を防ぐ。
●シルバーポリマルチフィルムを利用して、成虫の飛来を防ぐ。
●アルミホイル等の光るものを株の回りに設置する。
●草木灰をかける(匂いと粉を嫌って逃げていく)。
すいか、キュウリ等のウリ科
タマナギンウワバ ●卵は1粒ずつ葉裏に産卵されており、まんじゅう型の白い半球形で、卵の頂点から放射状に隆起線がある。
●幼虫は成長すると40mm前後になり、頭部が黄緑色、胴部は緑色で背面は白味をおびる。頭部の方がやや小形で、胴部は後方に次第に太くなり、中ほどで特に太く、背面も隆起して後方は急に低くなる。集団で寄生することはなく、若齢期から単独で食害する。葉裏や草むらで白い粗い繭をつくって蛹化する。
●成虫は淡灰褐色で、数個の黒点と銀白色の2個の紋があるが、普通では目につかない。5月から現れて、夜間に活動しながら産卵する。
●年間の発生回数は3〜4回の発生と考えられており、この為、年間を通じて発生がみられる。
●幼虫が葉裏に寄生して、葉裏から表皮を残して食害するが、成長するにつれて葉に穴をあけたり、葉の縁から葉全体を食べるようになる。キャベツでの発生が多く、晩夏から秋に被害が多い。ヨトウムシのように結球部に食入することはない。
●腹脚の数は2対しかないので、シャクトリ状に歩く。静止している時は、腹節を後方に屈曲してZ字形をするのが特徴である。
●葉裏を覗いて卵を取り除く。
●幼虫を捕殺する。
キャベツ、ブロッコリー等
オンシツコナジラミ ●卵は長さ1mmほどの砲弾型で、葉裏に産卵される。幼虫は偏平な長卵円形で動き回って、自分の好む場所に落ち着き、汁を吸い始めると脚がなくなって、そのまま同一場所に定着して大きくなる。成虫は体長1mmほどのもので、翅は白色の粉でおおわれている。
●休眠性のない害虫で、年10世代以上も繰り返し、いつも成虫、卵、幼虫、蛹の各態のものがみられる。
●冬期は低温の為発育を停止し、オオアレチノギク等の雑草で越冬する。4月頃から6月下旬迄盛んに羽化し、産卵を開始すが、梅雨期の降雨と夏期の高温の為、一時的に抑制される。
●成虫、幼虫とも葉裏に寄生して吸汁加害する。この為、葉緑素が抜け白いカスリ状になるほか、萎縮して株の勢いが衰え、枯死することもある。
●幼虫、成虫は、アブラムシ類と同じように尾端から甘い排泄物を出すが、これが下の葉や果実につき、そこにすす病が繁殖して葉や果実が黒く汚れることがある。
●キュウリ黄化病ウイルスの媒介虫である。
●寄生した苗の持ち込みで発生することが多く、これを防ぐことが大切である。
●寒冷紗で覆い、飛び込みを防ぐ。
●黄色粘着テ−プを発生初期から吊して誘殺する。
●ラノーテープを展張する。
トマト、ナス、キュウリ、メロン、インゲン
カブラハバチ ●幼虫は体長15mmぐらいで7対の腹脚がある。手で触れたり、葉を動かすと体をまるめてすぐ落下する習性がある。
●越冬は成長した幼虫が土中に入って土窩(土まゆ)をつくり、その中で行う。4月下旬頃から土中に入って蛹化し、5月には成虫が出現する。成虫は橙黄色、黒味の透けて見える翅をもったハバチで、不活発に飛んでいる。産卵は葉の組織の中に1粒ずつする。
●アブラナ科野菜の食葉害虫でナノクロムシとして知られている。発生時期は春と秋で、秋の被害が多い。
●葉上に、動きの鈍い黒藍色ないし、黒色をした幼虫が寄生し、最初は小穴をあけて食害するが、やがて葉の縁から不規則に加害し、太い葉脈だけが残る。
●寒冷紗や不織布をかけて栽培する。
●見つけ次第、手で捕殺する。
アブラナ科
カメムシ ●カメムシ類はホソヘリカメムシ、ブチヒゲカメムシ、アオクサカメムシ等、体長1cm前後の緑色や茶色系で四角っぽい虫が良く知られているが、5mm前後の小さいものや、細長い体型、背中の紋様の美しいもの等非常に多くの種類がある。別名「ヘコキムシ」と呼ばれ、触れると特有の悪臭を放つ。
●落ち葉の下や樹皮下、壁の隙間等で成虫のまま越冬し、春先から活動を始める。
●豆類が良く被害を受け、莢が吸汁されると実の入りが悪くなり、新芽が加害されると茎が曲がる、新葉が奇形になる等の症状が現れる。
●開花期の早い品種ほど被害が大きいので、開花の遅い品種を選ぶ。
●見つ次第箸で摘む等して取り除く。
●周辺の除草をする。
ダイズ等の豆類、アブラナ科等
キスジノミハムシ ●畑周辺の落葉の下、雑草の根元、取り残しの野菜の葉の間、土壌の間隙等において、成虫で越冬する。越冬成虫は4月頃から活動を始め、5月に入ると産卵が行われる。
卵は茎葉地際や根に産卵され、孵化幼虫は深さ10cm以内の土中に生息して根を食害し、10〜20日で地表近くに土繭を作り蛹となる。
●成虫は体長約2mmほどの甲虫で、背中は光沢のある黒色にオレンジないし黄色の縞模様が特徴である。後脚が良く発達しており、とび跳ねる為にキスジノミハムシの名がある。
幼虫は根に寄生していて、乳白色の細長い蛆状のもので、体長8mmほどになる。
●年に3〜5回発生し、6〜8月がピークとなる。暖冬(越冬虫の生存率が高い)の年や6〜7月が寡雨だと発生が多くなる。
●アブラナ科野菜の重要害虫で、ダイコンでの被害が著しい。成虫は葉を、幼虫は地下の根を加害する。葉には1mmほどの丸い食痕が一面にみられる。根の被害は、幼虫が根の表面を食害する為に起こるもので、サメ肌状(肥大期を通じて激しく食害されて表面がざらざらになる)、ナメリ状(肥大初期の食痕が肥大につれてくぼみとなる)、孔状(褐色の細かい点々が不規則に生じる)等の食痕が傷痕として残る。また、表面が黄褐色になり、表皮が硬化している。食害は幼生時に激しく、生育を著しく妨げることは少ないが、まれに枯死することもある。
●幼虫被害は砂土、砂壌土で少なく、壌土、埴壌土で多い傾向がある。
●アブラナ科野菜を連作すると、発生量が多くなる。
●春や秋の播種は被害が軽いが、発生の多くなる6〜8月に播種するものは被害が多い。
●アブラナ科作物の連作を避ける。
●周辺の除草を行う。
●野菜屑等を畑に放置しない。
アブラナ科、ナス科、ウリ科
キアゲハ ●アゲハチョウの仲間で、幼虫が作物を加害する。
●若齢幼虫は黒褐色に白い帯状の模様がある幼虫で、小鳥の糞に似ている。4〜5齢になると緑色の地に黒の縞模様のある大きな幼虫となり、暴食性の為被害は著しい。
●越冬は近くの建物の塀、柱、草の茎、樹木の枝幹等で蛹で行い、3月頃から羽化する。雌成虫は交尾後、葉裏に球状の卵を1粒ずつ産みつける。孵化幼虫は最初に卵殻を食べ、その後葉を食害する。
●年2〜3回発生し、春型は3〜5月、夏型は5〜7月、7〜9月である。
●発生期間が長いので、時々見回りをして捕殺する。
●成長して芋虫になってからでは被害が大きくなるので、若齢幼虫のうちに駆除する。
ニンジン、パセリ、セロリー等セリ科
コナガ ●成虫は、体長6mmほどの灰褐色の蛾で、翅の中央に乳白色の波状の紋がある。幼虫は最初黄褐色をしているが、大きくなると緑色になり体長10mmほどになる。蛹は被害葉の葉裏に粗い網目状の繭を作り、その中にいて、緑色、淡褐色、黒色のものがある。
●成虫は3月頃からみられ、5〜6月に最も多い。特に降水量が多いと発生は少ない。幼虫は雨に弱く、降雨によって葉裏から流される。
●アブラナ科野菜の代表的な害虫で、孵化直後の幼虫は、葉肉内に潜入して過ごすが、大きくなると葉裏に寄生して不規則な形に表皮を残して、葉肉だけを食害する。葉を動かしたり、体に触れたりすると体を激しく振って動く。また、糸を引いて地上に落ちる。
●手で捕殺する。 キャベツ、ハクサイ、ダイコン等アブラナ科の野菜
ダイコンサルハムシ ●成虫は体長6mmぐらいの黒色の甲虫で背中には光沢がある。幼虫は体長4mmぐらいで体色が黒く背中にはいぼいぼのような突起物があり、側面に毛のようなものが生えている。
●成虫で越冬し、春と夏を眠り続けて9〜12月に発生する。
●アブラナ科の野菜の害虫で葉を食い荒らす。特に有機栽培においてよく見られる。
●手で捕殺する。死んだふりをしてポトリと落ちるので虫取り網等で受けて捕まえると良い。
●雑草が多いと繁殖しやすいので、雑草取りをこまめに行う。
●網目の細かい不織布のようなものをべた掛けする(防虫ネットの利用)。
●アブラナ科以外の野菜と輪作する。
カブ、ハクサイ、ダイコン等アブラナ科の野菜
ダンゴムシ ●成虫は体長5〜10mmほどで丸みを帯び、手で触れると球のように丸くなる。また、湿った日陰に集合して生活する習性がある。
●幼苗が被害を受けやすく、新芽や茎が食害される。その為生長が止まってしまう。
●特に、ジャガイモを好んで集まるので、収穫後の茎を畑におとりとして置き、頃合を見て足で踏み潰す。
●日陰に集まるので、日陰の場所を覗いて捕殺する。
 
テントウムシダマシ ●アブラムシを補食する天敵のテントウムシに似ていることから、テントウムシダマシと総称されている。テントウムシダマシ類にはニジュウヤホシテントウとオオニジュウヤホシテントウが良く知られている。
●成虫は半円球の甲虫で、大きさは6〜7mmである。2つとも、翅に28個の斑紋がある。
●オオニジュウヤホシテントウは年1〜2回発生する。越冬は成虫で落葉の下等で過ごし、4月下旬頃から現れる。5月中旬になると産卵し、6月下旬〜7月上旬及び8月上旬に成虫が発生する。
●ニジュウヤホシテントウは年2〜3回発生する。成虫で越冬し4月上旬頃から現れる。5月頃から産卵し、6月中旬〜7月中旬及び8月中旬〜9月に成虫が発生する。
●2つとも成虫と幼虫が加害する。はじめは葉の裏側から葉肉をさざ波状に食害する。葉の食害が進むと、茎の表面や果実の皮も食害する。
●動きの鈍い幼虫のうちに捕殺する。 ジャガイモ、トマト、カボチャ、スイカ、キュウリ、インゲン、ササゲ
ナメクジ ●ナメクジ類は雌雄同体の為、一匹では産卵できないが二匹いると両方とも産卵する。卵は土中や鉢底等にまとめて産み付けられ、半透明で2〜3mm前後の円形や楕円形をしている。
●昼間は巻いた野菜の葉の間や残滓の下等湿っぽい場所に隠れている。隠れている時は縮んで太くなっていて、活動する時は伸びて細長くなる。暗くなってから半径数mの範囲内で活動する。
●這った跡に特有の粘液が残り、乾燥すると光って見える。
●植物の柔らかい部分、花弁、新芽や若い葉を好んで食害する。
●ナメクジ類は昼間は野菜の残滓の下等に隠れているのでそれらを取り除いて、見つけ次第、捕殺する。
●夜行性なので夜間に懐中電灯で照らして探し、見つけ次第、箸等で摘んで捕殺する。
●ナメクジはビールを好むので空き缶等に入れて土の高さにあわせてほった穴に埋め、溺れ死にさせる。
●畑の中や周囲のゴミ・雑草を取り除き、ナメクジの発生源を断つ。
●潜伏場所となる濡れ筵を設置し、これに誘引して捕殺する。
●じめじめした状態が長くならないよう、水遣りは朝早い時間に行う。
キャベツ、レタス、白菜等
ネギアザミウマ ●ネギ類の害虫とし知られている。成虫、幼虫とも茎葉や花の中に生息し、表皮から吸汁加害する。加害部は銀白色になり、ひどい場合には株が枯死することもある。
●成虫は体長約1mmで、体色は淡黄ないし灰黄色である。幼虫と蛹は体色が白色ないし淡黄色で、紡錘形をしている。土中や葉の隙間等で蛹となる。非常に小さい為見つけにくいが、葉が二つに折れ曲がった部分等を良く見てみると群生しているのがわかる。
●トマト黄化壊疽病ウィルスを媒介する。
●小さいので見つけにくい。折れ曲がったり、白くなった部位を目印に探し出し、その部分を取り除いて捨てる。 ネギ類
ネキリムシ ●ネキリムシには数種類いるが、カブラヤガが多い。成長した幼虫は体長が約40mm、頭部は黒褐色、胴部は暗灰ないし暗緑色で一面に細かい隆起があり、サメ肌状である。
●昼間は土中に隠れ、夜間に茎を食害するのでヨトウとも言われている。
●年3〜4回発生し、幼虫で越冬する。成虫の発生は5月上旬、7月上旬、9月中旬で、被害が多いのは4〜6月と9〜10月である。
●孵化後の幼虫は地上に生息し、下葉あるいは心葉を食害する。体長が10mmを越えると好んで生長点の心葉を食ったり、若い苗の地際の柔らかい茎を食いきり、土中に持ち込む。大きくなった固い苗は好まない。成虫は雑草や栽培植物の地際の古い葉とか枯葉に1〜2個ずつ産卵する。
●被害を受けた植物のまわりの土中に隠れているので、掘り起こして捕殺する。
●周りの除草をする。
レタス、ナス、ダイコン、キャベツ、ハクサイ、カブ、ナス、トマト、ピーマン、ニンジン、ゴボウ、ホウレンソウ、ネギ、イチゴ、アズキ、ダイズ、サツマイモ等多種
ネコブセンチュウ ●株全体の生育が鈍り、日中に葉が萎れたりする。根を掘ってみると根にコブが無数にできているのがみられる。根の組織が壊される為、水分や養分の吸収ができなくなって、ひどい場合には葉が黄変し枯れることもある。
●年に数世代を繰り返す。卵や植物の根の内で成虫で越冬し、地温が15℃ほどで活動を始める。幼虫が根の組織に侵入して定着し、脱皮を繰り返して成虫になる。根はセンチュウの出す物質によって細胞が異常分裂をして、コブ状にふくれる。
●土質によっても被害程度が異なり、粘質土壌よりも砂質土壌や火山灰土壌等の排水の良い土壌での被害が大きい。
●作付するほ場またはその周辺で、ギシギシ等の雑草が繁茂しているところでは発生が多い。
●抵抗性品種を利用する。
●マリーゴールド(特にフレンチマリーゴールド)と一緒に植える。
●同じ種の植物を連作を避ける。
●抵抗性品種を利用する。
●地温を高める方法も効果が高い(ビニールマルチ等)。
メロン、キュウリ、ダイズ
ハダニ ●特に被害の大きいカンザワハダニとナミハダニは赤い色をしている為、「赤ダニ」とも呼ばれている。梅雨明けから9月頃にかけて繁殖が旺盛になる。各種作物に寄生して、夏季に雨が少なく高温乾燥が続くと、多くの発生がみられる。逆に水に弱いので、夕立等があると生息密度が下がる。
●体長が0.5mm前後と非常に小さな虫で、葉裏に寄生して汁液を吸収する。葉の表面がかすり状に抜けて白くなる。多発生するとクモが巣を張ったようになり、株全体の葉が白くなり、葉の縁から褐変する。ひどい時には株が衰弱して、枯れてしまう。開花期に発生が多いと花数が少なくなり、果実も肥大しない。
●越冬は成虫や卵の形で作物や雑草の葉裏で行う。
●クモの仲間で、クモと同様に糸を出す。ハダニは一つの場所での寄生数が多くなり過ぎると、自分の糸を風にのせて移動する。
●発生初期の防除がハダニ防除のポイントで、苗からの持ち込みに気をつける(早期発見、早期防除につとめる)。
●水に弱い為、定期的に葉裏に散水する。
●生育初期に寒冷紗や不織布をかけて虫の侵入を防ぐ。
●ハダニ類の主な発生源は雑草であるので、これらの雑草を除去する。
●野菜の残渣を畑に残しておかない。
●被害葉は取り除き焼却する。
イチゴ、メロン、ナス、キュウリ、キャベツ、レタス、ダイズ、インゲン、里芋等多種
ハモグリバエ ●マメハモグリバエとナスハモグリバエが代表的。低温域ではナスハモグリバエの発育が早く、高温域ではマメハモグリバエの発育が早い。
●両種とも葉内で3齢を経過した幼虫は葉から脱出し、地上に落下してから蛹になる。
●成虫は体長が約2mmの小型のハエで頭は黄色く、胸や腹は灰色である。幼虫は長さが約3mm、体全体が円筒形で白っぽいウジである。蛹は長さ約2mmほどの少し平たい楕円形で、褐色である。
●両種とも幼虫は葉を潜って食害する為、くねくねとした線状の食害痕が葉面に現れる。雌成虫は産卵管で葉面に穴をあけ、汁液の摂取や産卵を行う。こうした摂食・産卵痕は葉面に白っぽい小斑点となり残る。
●成虫は黄色に誘引される習性がある。
●苗からの持ち込みを防ぐ。
●黄色粘着トラップを設置し、成虫の早期発見に努める。
●寒冷紗を張り、成虫の侵入を防ぐ。
●周辺の雑草を除草する。
●土壌消毒を行う。
●幼虫等の寄生した植物残渣は、発生源になるので、土中に埋めるか、焼却する。
ウリ科、ナス科、アブラナ科、マメ科等
ヨトウムシ ●野菜の代表的な害虫で、各種の作物を加害し、被害が大きい。
●終齢幼虫では体長が40〜50mm迄成長する。体色は幼虫の発生密度によって異なり、低密度では緑色で、高密度になるにつれて黒褐色迄変色する。
●越冬は土中で蛹の状態で行い、5月中下旬に羽化する。夏の高温下で夏眠して、8月中旬〜9月上旬ごろに2回目の発生が見られる。
●卵塊として産卵される為畑の特定部分に集中して発生する。また移動性が強く、隣の畑に移って被害を及ぼすこともある。
卵は産みつけられた直後は白色で、のちに淡褐色になり、孵化前には黒くなる。
孵化した若齢幼虫は葉裏を集団で食害する。食害は1〜2葉に集中し、表皮を残して食害するので、葉は白くかすり状になる。また、幼虫は葉をゆすると糸をはいて集団で落下する。
中齢以降は分散して加害するようになり、表皮を残さず、葉に点々と穴をあけて食害する。
老齢になると昼間は株元の土中や結球内部に潜み、夜間に食害するようになる。この為夜盗虫と呼ばれる 。
●アオムシと違ってキャベツ、ハクサイ等の結球野菜ではその内部に食入する。
●類似害虫としてハスモンヨトウがいる。加害作物、加害習性とも良く似ているが、卵が褐色の体毛で覆われている点と秋季に発生が多い点で異なる。
●孵化直後の葉裏に群棲している時に、集団で寄生している葉を切りとって処分する。
●食害により、葉が白っぽくなるので、白っぽい葉を目印にして探し出す。
●発生は春より秋の方が多いので、秋期の発生には特に注意する。
●若齢幼虫は、わずかの刺激でも体をまるめて落下するので、駆除前に畑を歩き回らない。
●寒冷紗や防虫ネットを使用する。
●付近の雑草から移動してくることが多いので、周りの除草をする。
●早朝あるいは夕方に見回って目につく幼虫を捕殺する。
●アブラムシ類を防除すると発生は少ない。
ハクサイ、キャベツ、ダイコン、エンドウ、ピーマン等多種
ワタノメイガ ●淡緑色の幼虫が綿状の糸を出して葉を筒状に巻き、その中で食害する。幼虫は一つの巻葉内に留まることはなく、発育が進むと新しい巻葉をつくり、食害する。
●幼虫で越冬でし、年間3世代を経過する。オクラでの発生は7月頃からみられはじめ、8〜9月に多くなる。
●巻いている葉を摘み取り、踏み潰す。 オクラ、ワタ等アオイ科
 
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●栽培計画を立てよう
  1. 限られたスペースを有効的に効率良く使う。
    家庭菜園は大きな栽培スペースを持つ専門の農家と違って限られた場所で場所で色々な野菜を工夫して作るところに大きな楽しみがあります。無計画に特定の野菜ばかりをたくさん栽培したりしては、他の作物が栽培できなくなってしまうばかりか、ある時期はその野菜ばかり食べなくてはならない羽目にもなりかねません。そうしたことを避ける為にも、限られたスペースをきちんと区割りし、色々な野菜を効率良く栽培して楽しみを倍増しよう。
  2. 栽培時期を逃さない、あるいは成長の各段階における農作業の目安とする。
    野菜の栽培時期はその年の気候環境等によって多少のずれはあるものの、それぞれの適期というものがあります。適切な時期に適切な処置を施すことで野菜の成長はより一層促進されます。計画を作ることで、植え付けや追肥等野菜の各成長段階における作業の目安ができ、時期早尚や時期遅れによる作付けの失敗を避けることができます。
  3. 連作をさけ計画的な輪作をする。
    同じ品種や同じ科に属する野菜を同じ場所に植え続けると、病気が発生しやすくなる。これは
     @病原菌が土中に増えて土壌病害が発生しやすくなる。
     A根から分泌する特定の成分が土中に蓄積され、自家中毒のような障害を引き起こす。
     B土中の肥料のバランスがくずれて栄養失調を起こすこと等が原因です。
    過去の栽培計画も参考にして、どこに、どの時期に、どのような野菜を作付けするかを予定し、連作障害を防止します。
  4. データとして蓄積することで過去の計画と比較したり、将来の栽培の手助けとなる貴重な資料となります。更には、実際の栽培と計画とを比較することで、うまくいかない場合の反省の材料となりますし、うまくいった時の喜びがひとしおとなります。
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●温度との関係
野菜の発芽には、水・空気(酸素)・温度の3つの条件が重要です。この3つのどれが欠けても野菜は芽を出さないので、これを発芽の3要素といいます。発芽の条件としてこのほかに光もありますが、光は必ずしも必要ではなく、野菜の種類によっては光を嫌うものもあります。水・空気・温度の3要素は、発芽に関係するだけでなく、その後の生育にも大きな影響を与え、このうちのどれが欠けても順調な生育は望めません。ここでは、この3要素のうち温度と野菜の関係について簡単に説明します。
 
発芽適温
野菜の種が芽を出す時の温度は、野菜の種類によって異なるが、低温を好む野菜は15〜20度、高い温度を好む野菜は20〜30度発芽適温となります。従って、まだ寒い時期に、暖かい温度を好む野菜の苗つくりをする場合は、温床により発芽に必要な温度を確保します。他方、暑い夏に低温を好む野菜の種まきをする場合には、冷蔵庫等に数日入れて、芽出しをしてから畑に蒔きます(芽出し蒔き)。
下の表は目安であって、同じ野菜でも品種によっても異なるので参考と考えて下さい。

低い温度を好む野菜(15〜20度)

高い温度を好む野菜(20〜30度)

わけぎ、ラッキョウ、カブ、山東菜、正月菜、ほうれん草、ソラマメ、エンドウ、イチゴ、春菊、パセリ、ジャガイモ、みつば、サイシン、にら、アシタバ(明日葉)、セロリ、レタス、サラダ菜 インゲン、アスパラガス、スイカ、メロン、ナガイモ、ズッキーニ、にんにく、セロリ、枝豆(大豆)、ささげ、とうもろこし、オクラ、キュウリ、しょうが、みょうが、紫蘇、ツルムラサキ、かぼちゃ、にがうり、サツマイモ、里芋、ごぼう、トマト、なす、ピーマン、シシトウ、トウガラシ、ごま、タアサイ、モロヘイヤ、マクワウリ

適温の幅が広く低温でも高温でも発芽できる野菜

水菜(京菜)、壬生菜:(10〜25度) 
ふだん草、大根、二十日大根、キャベツ、ニンジン、玉ねぎ、ねぎ:(15〜25度)
小松菜、山東菜、白菜、ブロッコリー、カリフラワー、チンゲンサイ:(15〜30度)
 
生育適温
野菜の生長に最も適した温度のことを生育適温といいます。野菜全体の生育適温はおおよそ15〜30度くらいです。従って、野菜の順調な生長を期待する為には、気温がそれよりも低い時期なら、ビニールトンネルやホットキャップ、電熱育苗マット等で保温(加温)し、逆に高い時期なら、株元に敷き藁をしたり、寒冷紗等で遮光してやる等の工夫が必要となります。
下の表は目安であって、同じ野菜でも品種によっても異なるので参考と考えて下さい。

低い温度を好む野菜(15〜20度)

高い温度を必要とする野菜

暑さを好む(20〜25度)

特に暑さを好む(25〜30度)

玉ねぎ、ねぎ、わけぎ、ラッキョウ、大根、二十日大根、カブ、白菜、山東菜、小松菜、正月菜、水菜(京菜)、壬生菜、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、ほうれん草、エンドウ、ソラマメ、イチゴ、春菊、レタス、サラダ菜、パセリ、セロリ、ジャガイモ、ニンジン、にんにく、ふだん草、みつば、サイシン、にら、タアサイ、アシタバ(明日葉)、アスパラガス インゲン、キュウリ、ごぼう、ナガイモ、みょうが、ズッキーニ、ごま 枝豆(大豆)、ささげ、オクラ、トマト、なす、ピーマン、シシトウ、トウガラシ、しょうが、紫蘇、ツルムラサキ、にがうり、サツマイモ、里芋、モロヘイヤ、スイカ、とうもろこし、メロン、かぼちゃ、マクワウリ、ナタマメ、クワイ、エンサイ、シロウリ
 
温度と花芽分化
野菜の葉や茎を分化していた組織が、花を分化する組織に変わることを花芽分化といい、この期を境に前を栄養成長、それ以後を生殖成長と呼んでいます。果菜類では、花芽分化により開花・結実した部分を収穫しますが、葉菜類や根菜類では、花芽が出ることにより「抽苔(ちゅうだい)」(「とうだち」ともいう)が進んで、葉や根の成長が止まり、固くなって収穫に適さなくなります。
この花芽分化の原因は、昼と夜の長さの変化(短日性、長日性)によるものが良く知られていますが、温度の変化も、大きな原因の一つとなっています。品質の良い野菜を作るには、この性質を良く理解して、栽培時期を考える必要があります。

条 件

種         類

留  意  事  項

低温に当たること 種まきの時から 白菜、大根、カブ、小松菜、正月菜、山東菜、エンドウ、ソラマメ 秋の遅まき、春の早まきを避ける。
一定の大きさになってから キャベツ、ねぎ、玉ねぎ、イチゴ、ブロッコリー、カリフラワー、ニンジン、ごぼう、かぼちゃ、キュウリ、セロリ ブロッコリー、カリフラワーは早まきで苗を大きく育てる。キャベツ、ねぎ、玉ねぎは越冬前に苗を大きくし過ぎない。
高温に当たること レタス、とうもろこし、枝豆(大豆) レタスは秋の早まき、春の遅まきを避ける。
 
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●光との関係
多くの野菜の栽培にとって、光はなくてはならないものです。野菜は根から吸収した水と空気中から取り入れた炭酸ガスを原料として、光のエネルギーを利用して葉や茎の葉緑体で光合成を行い、炭水化物(でんぷん)を合成します。このでんぷんが野菜成長の為の大切な栄養素になるわけです。ですから一般に野菜は、日当たりが悪いと栄養不足になって徒長し軟弱に育つと共に、実のつき方も悪くなります。
このように光は野菜の生長にとって大きな役割を果たしていますが、
野菜の種類によって光を必要とする度合いに差が有ります。多くの野菜は日当たりを好みますが、日当たりがさほど良くなくても育つものや、日陰を好む野菜もあります。ここでは、光と野菜の関係について知っておくと役に立つ知識を紹介します。
 
発芽と光
多くの種子は光にあたると発芽が悪くなります。これを嫌光性種子といい、覆土を厚くすることによって発芽率を高めることができます。一方では光にあたった方が発芽が良くなる種類の種子がありこれを好光性種子といいます。好光性種子の場合は覆土をしないか、ごく薄めの覆土にします。

性 質

種         類

嫌光性種子 大根、ねぎ、玉ねぎ、にら、なす、トマト、ピーマン、シシトウ、トウガラシ、キュウリ、かぼちゃ、スイカ、メロン、オクラ、にんにく、ニガウリ、モロヘイヤ
好光性種子 みつば、レタス、サラダ菜、紫蘇、キャベツ、白菜、カリフラワー、ブロッコリー、春菊、ニンジン、セロリ、ごぼう、小松菜、山東菜、正月菜、かぶら、チンゲンサイ、パセリ
光に関係ない種子 とうもろこし、ほうれん草、ダイズ・エンドウ等の豆類
 
成長と日当たり
野菜の成長にとって光はなくてならないものですが、その必要度については野菜の種類によってばらつきがあります。一般に夏野菜或いは秋野菜の大部分は日当たりの良い場所を好み、多くの光を必要とします。しかし、成長の条件として日当たりよりも温度等を重要とする野菜は、多少日当たりが悪くても成長することができます。秋から冬にかけて栽培する野菜や、春先に収穫する野菜がこれにあたります。また、半日陰や全くの暗闇を好む野菜もあります。従って、この性質を考慮して植える時期と場所を選ぶ必要があります。

性 質

種         類

強い光を好む トマト、なす、ピーマン、シシトウ、トウガラシ、オクラ、サツマイモ、ツルムラサキ、ニガウリ
日当たりの良い所を好む キュウリ、かぼちゃ、スイカ、メロン、大根、ニンジン、ごぼう、かぶ、にんにく、インゲン、キャベツ、モロヘイヤ、ごま、ズッキーニ、とうもろこし、枝豆、イチゴ、玉ねぎ、セロリ、ソラマメ、ラッカセイ
多少日当たりが悪くても育つ ほうれん草、アスパラガス、里芋、ジャガイモ、しょうが、ねぎ、わけぎ、にら、春菊、パセリ、サラダ菜、レタス、エンドウ、小松菜、正月菜、山東菜、白菜、カリフラワー、ブロッコリー、ラッキョウ、タアサイ、紫蘇、アシタバ、水菜、壬生菜
日当たりの悪い所を好む みつば、みょうが、ふき、セリ、山椒
 
日照時間と開花
日照時間は夏至の日が最も長く、反対に冬至の日は最も短くなります。これに対して春分の日と秋分の日は昼と夜の時間が同じで12時間ずつになります。この春分の日を境にして日が長くなる時期に開花する植物を長日性植物といい、秋分の日を境にして日が短くなる時期に開花する植物を短日性植物といいます。また、日照時間の長さに左右されないで長短いずれの条件下でも開花する植物を中間性植物といいます。
品質の良い野菜を作る為には、野菜別にこの性質を良く理解して、栽培する時期を間違えないようにする必要があります。

性 質

種         類

長日性植物 ホウレンソウ、二十日大根、エンドウマメ、タカナ、春菊
短日性植物 ダイズ、イチゴ、シソ、かぼちゃ、キュウリ
中間性植物 トマト、なす、インゲン、トウガラシ
 
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●土壌水分(湿気)との関係
土壌水分(湿気)は野菜の栽培条件の中でも大きなポイントとなる条件で、水分がなければ種は発芽することが困難であるし、たとえ発芽したとしても大きく育つことはできません。
 しかし、土壌水分は多ければ多いほどよいというわけではなく、土壌水分が多くいつもジメジメした菜園は根が酸素不足の為に腐ったり病気になり易いので、水はけの悪い菜園では水はけを良くするために菜園の周囲に溝を掘ったり、畝を高く作るなどの工夫が必要です。一方、水はけが良すぎて乾燥しやすい菜園では水分の不足により成長が遅れたりするので、灌水を十分にしたり、マルチを施して乾燥を防ぐ手立てをするなどの措置が必要です。
 また、野菜の種類によって湿気に対する特性があり必要とする水分量には違いがあるので、そうした野菜の特性を良く理解して水分条件を調整することが良い野菜作りには不可欠となります。

性 質

種            類

多湿に弱い
(乾燥を好む)
ごぼう・ダイコン・にんじんなどの根菜類、きゅうり、ねぎ、トマト、インゲンマメ、かぼちゃ、うり、メロン、すいか、じゃがいも、枝豆、エンドウ豆、あずき、フジマメ、ささげ、ソラマメ、ピーマン、サツマイモ、にんにく、ごま、ブロッコリーなど
多湿に強い いちご、キャベツ、はくさい、三つ葉、さといも、はすいも、玉ねぎ、ふき、たまねぎ、なす、セロリ、しそ、ふだん草、小松菜、春菊、ほうれん草、タアサイ、青梗菜、水菜、山東菜、サラダ菜、しょうが、みょうが、レタスなど
特に多湿を好む クワイ・レンコン・クレソン(湛水状態で栽培)、セリ、ワサビなど
 
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●土の酸度に対する野菜栽培の目安
野菜の生育にはその種類によって適した土壌酸度が必要であり、多くの野菜は弱酸性を好みますが、中にはかなりの酸性土壌でも生育できる野菜もあります。日本は降水が多い為、土壌中のミネラル分が流出し易く、土壌が酸性になりがちです。その為、野菜に適した酸度を良く理解して、石灰等で酸度の調整をすることが必要となります。
酸性土に弱い野菜
  • エンドウ、ホウレンソウ等
酸性土にやや弱い野菜
  • キュウリ、メロン、トマト、ナス、ピ−マン、トウガラシ、オクラ、 エダマメ(ダイズ)、ソラマメ、インゲン、ラッカセイ、ハク サイ、ネギ、タマネギ、レタス、サラダナ、セロリ、 パクチョイ、ワケギ、ミズナ、ミブナ、アスパラガス、パセリ、 チンゲンサイ、タアサイ、モロヘイヤ、ニンニク、ニラ、シュンギク等
酸性土にやや強い野菜
  • キヤベツ、カリフラワー、ブロッコリー、コマツナ、 ダイコン、ラディッシュ(二十日大根)、カブ、ニンジン、ゴポウ、 ミツバ、トウモロコシ、カボチヤ、シロウリ、シソ、 スイカ、ミョウガ、アサツキ、ツルムラサキ、ニガウリ 、トウガン等
酸性土に強い野菜
  • ジヤガイモ、サツマイモ、サトイモ、ヤマノイモ、ラッキョウ、 ショウガ、イチゴ、ウメ、カキ等

酸性に弱い野菜の種蒔きや植え付け時には、必ず最低2週間ぐらい前迄に消石灰や苦土石灰で酸性を中和しておきます。

 
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●種・苗の選び方
種の選び方
  1. 古い種子は発芽率が悪い為、種の袋の裏側には必ず採種年月が書かれているので、これを確認して新しいものを選ぶようにする。また、種子を蒔く本来の時期よりも遅い時期に販売しているものは、前年の売れ残りの可能性があるので避ける。
  2. 店頭で直射日光に当たったものや湿気のある場所等に置いたものも、発芽率が悪いので避ける。
  3. 種は播く直前に買うようにする。種の採取は種類によっては年に何回か行われているので、なるべく直前のほうが新しい時期に採取した種子である可能性がある。
  4. 種子は買ったら新しいうちに直ぐに播く。手持ちにしていて古くなったら新しいものを買った意味がなくなります。又、使い残した種子は、乾燥剤を入れた密閉容器(コーヒーや薬のビン、お茶の缶等)に入れ、涼しくて湿気の少ない場所に保存する。
苗の選び方
近年は家庭菜園のブームもあり色々な野菜苗が年中店頭に並びますが、特にトマト、ナス、ピーマン、ししとう、キュウリ、かぼちゃ等が出回る4月末から5月の連休はそのピークです。苗を選ぶ時は以下に注意して下さい。
  1. 徒長していないもの(ヒョロヒョロと間伸びしていないもの、茎が太くがっちりしていて節と節の間隔が詰まっているものがいい)
  2. 病気に罹っていない、又は虫の付いていないもの。
  3. すいかやメロン、きゅうりは、カボチャやカンピョウに接ぎ木した苗を買う。
  4. 芯葉がしっかりとしているもの。
  5. 下葉が黄化していないもの。(日数が経ったものは黄化するので、葉の緑が濃く厚みのあるもの)
  6. 葉や茎がみずみずしくて萎れていないもの、或は葉が大きくつやがある 。
  7. 大きくなり過ぎていないもの。(大きくなり過ぎると根付きが良くない為)
  8. 苗が小さ過ぎるものは避ける。(特に時期が早いうちに出ている苗は避ける。苗が出回っていても関東では遅霜や雹が降ることがあり、買い急がずに適期に植えることが肝要。)
  9. 蕾がついているもの。(なす、とまと、ぴーまん、ししとう等)
  10. 細根が多く根張りが良いもの。
  11. 子葉が枯れずに付いているもの
  12. 白い色の根が一杯伸びているもの。(根が黄褐色のものは良くない)
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●種蒔きと定植
種の準備
  1. ダイズやトウモロコシ、オクラ等の皮の硬い種子は、一晩ぬるま湯か水に浸けて、水を吸わせると発芽は早まり、芽出しも揃う。
  2. 高温期にはレタスやほうれん草の種子は芽出しが悪いので、夏蒔きする場合は、数時間水に浸した後、2〜3日冷蔵庫に入れて芽出しをしてから蒔く。
  3. 人参は水に浸した後、草木灰につけて蒔くと中和もされて芽出しが良い。
  4. ジャガイモやさといもは、日陰で暖かい所に置いて、ある程度芽出ししてから植えると良い。
種蒔きの方法
野菜の種類によって適切な畝幅や株間等があり、種の播き方も異なります。畑に直接種子をまく方法を「直まき」といい、ほうれん草、小松菜、山東菜、三つ葉等の葉菜類やいんげん、えだまめ、ささげ等のマメ類、とうもろこし、オクラ等の果菜類を直まきで栽培します。原則として小物野菜や直根性等で植え痛みのする野菜類は直播にするようにします。これに対してなすやピーマン、ししとう、トマトのように畑の一部に苗床を作ったり、苗ポットや苗箱に種を植えて、ある程度成長したところで苗を定植する方法もあります。

◆種の播き方
@すじまき(板切れか指先で細い溝(5〜10mm)をつくりそこに種を播く)
 ある程度の面積のある場所で栽培するのに適している。
A点まき(一定の間隔で穴を掘り、そこに3〜5粒の種を播く)
 大型野菜の栽培に適している。
Bばらまき(小さな種を植える時に良く行う方法で、均等になるように全体にばらまく。二つ折りにした厚紙に種を載せ、下から叩くようにすると旨くいく。)
 プランターのように面積の小さい場所で播く時は、これを採用する。

種は子(双)葉が触れ合う位に多少厚めに蒔き、本葉が1〜2枚出てきたら間引くようにした方が、小さいうちは良く育ちます(共育性または友育性という)。

●野菜の性質や種の大きさ等に応じた種まきの仕方
注)ポット蒔きできるものは基本的に直播も可能です。

蒔き方

性 質 や 種 の 大 き さ 等

適   用   野   菜

直播 すじまき @直根性で植え替えを嫌う野菜 @種子が小さい野菜
  (1〜1.5mm)
A種子が比較的小さい野菜
  (1.5mm〜数mm)
小松菜、ほうれん草、タアサイ、青梗菜、水菜、
点まき @種子が大きい野菜
  (数mm以上)
オクラ、ソラマメ、インゲン豆、えんどう豆、ささげ、かぼちゃ、ズッキーニ
ばらまき @移植が出来る野菜 @移植を前提とし苗床に播く場合 青梗菜、菊名、水菜、サラダ菜、レタス、キャベツ、玉ねぎ、

ポット蒔き

@移植をする場合
A種を播く場所が未だ空いていないが、蒔き時期を逃せない場合
@種子が小さい野菜
  (1〜1.5mm)
A種子が比較的小さい野菜
  (1.5mm〜数mm)
白菜、レタス、菊名、モロヘイヤ、オクラ
@種子が大きい野菜
  (数mm以上)
ソラマメ、インゲン豆、えんどう豆、ささげ、かぼちゃ、ズッキーニ

◆土かけ
土かけは、種子の大きさの2〜3倍程度の厚さを目安にします。但し、土を厚くかけると発芽が不揃いになるカブ、パセリ、ミツバ、レタス、シュンギク、ニンジン等(好光性種子)はごく薄くかけるようにし、土かけした上から軽く手や板等で押さえます。畝に新聞紙を掛けておき、発芽する迄はこの上から水をやる方法もあります。但し、芽が出たら新聞紙は成長の妨げとなるので、すぐ取り除くようにします。

◆潅水
種子まき、苗の植えつけ等の際には欠かせません。あまり激しく潅水すると、種が水で流れたり地表に飛び出したりするので、種をまいた後はジョウロのハス口を上向きにして、水圧を抑えながら静かに土にしみ込ませるようにします。種蒔きや植え付け前に畝に潅水したり、ポット苗に十分に水を施すことも良い方法です(近所の園芸屋さんはバケツ等に水を汲んで、苗の植え付け前に苗ポットごと数時間浸してから植えれば、潅水しなくて良いと言っていました)。
基本的に水やりは午前中(特に朝のうち)に行います。気温の低い時期や夕方は地温が下がり、生育が悪くなるので避けます。

 
定植
苗床や苗ポットに播いた種は、ある程度成長した段階で畑に移植し育てます(定植という)。自分で種から育てるのでなくホームセンター等で買ってきた苗を直接定植することも良いでしょう。定植の時期は本葉が4〜5枚頃が適当で、大きくなり過ぎた苗では根付きが悪い事から、植え付けた後の生育が良くないので注意して下さい。植え替える際は、野菜を痛め易いので、丁寧に取り扱います。ポットの場合には、事前に水をやって土を安定させておいてから、そっとポットから苗を抜き取ります。苗床の場合は特に根を痛め易いので、植え替え前(移植の直前は避け、出来れば前日)に十分水やりをして、少し湿った状態で根の周囲の土を付けたまま抜き取るのが肝心です。
 
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●間引き
間引きの必要性
種子はまばらに播くと、一つ一つが離れている為、自然環境(雨や風、温度、土壌、水分等)の変化をまともに受けて、なかなか育ちません。種子を適度に多めに蒔くと、小さなうちは苗が込み合っているので、環境変化の影響が少なくてすみ、お互いに良く育ちます(共育性または友育性という)。しかし、生長するに従って、今度はお互いに競争して妨げ合うようになります。又、葉や茎が重なり合うようになると、日当たりや風通しが悪くなり、徒長して軟弱になり、病害虫も付き易くなります。そこで、成長に合わせて何回かに分けて間引きを行います。
 
時期と方法
間引きは苗間が広過ぎても狭過ぎてもいけないので、生育の状態にあわせて行うことが必要です。間引きの時期は、野菜の種類によっても異なりますが、@子葉が出た時、A本葉1枚の時、B本葉2〜3枚の時、C本葉4〜5枚の時を目安に数回に分けて間引きます。 間引きは何となくもったいない気がして控えめにしがちですが、第1回目は全体を半分位に減らすつもりで、込み合っている所を中心に間引きます。間引きの対象とするのは奇形や発育の悪いもの、逆に飛び抜けて勢いの良いものです。2回目以降は奇形や生育の遅れている苗、病害虫に冒されたものも間引きます。全体の生育度合いと苗間を揃えることが大切です。
間引く時は、残す苗の根元を押さえて、そっと引き抜きます。手で直接抜いても良いですが、特に芽が出たばかりで苗が小さい場合には、割り箸やピンセット等を使うと便利です。
 
間引きの対象
  1. 病気のもの
  2. 害虫に食われたもの
  3. 育ちの悪いもの
  4. 葉が黄色っぽいもの
  5. ひょろひょろしているもの
  6. 元気がないもの
  7. 奇形や変形しているもの
  8. 生育が旺盛で元気が良過ぎるもの
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●潅水
潅水の役割
  1. 水分の供給
  2. 肥料を溶かして根に供給
  3. 余分な肥料や根の分泌物、有害物質を流し去る
  4. 新鮮な空気の取り込み等、根の周囲の環境を良くする
水の与え方
  1. 水をやる時はタップリと与え、有害物質を排除したり、新鮮な空気も取り込めるようにします。
  2. 中途半端に何回もかけると、表面が湿るだけで内部迄十分に浸透しません。又、水を何回もかけることによって表面の土が固く締まってしまい、空気が根のある土中に十分に行き渡らなくなります。
  3. 表面は乾いていても土中は湿っているので、表面が乾いたからといって直ぐに水をやる必要はありません。通常は種蒔き後や苗の植え付け時に潅水しますが、それ以外は自然に任せ、真夏の暑い時でも、昼間は萎れていても朝夕に元気が回復するようであれば、心配は要りません。(激しく萎れるようであれば水やりは必要)
  4. 暑い時に、表土だけ湿らせると、地温が上がり過ぎて蒸発量が多くなり、毛細血管現象によって次から次へと下層の水分が吸い上げられて、表面だけでなく下層の水分迄なくなってしまいます。表土だけでなく下層迄が乾いて固くなると、いくら水をやっても土中に浸透せず、野菜の成長が阻害されてしまいます。
  5. 水やりは午前中、できることなら早朝に行うことを基本にして、一日に何回も与えないことです。特に夏は早朝に与えることを心掛けます。暑い日中に与えると根や葉が傷み易いし、水分が多いと徒長する場合があります。また、夕方に水をやると地温が下がり成長が遅れる原因ともなるので、まだ寒いうちは特に注意して下さい。
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●支柱立て
蔓が伸びる野菜や背丈がある程度大きくなる野菜は、支柱を立てます。ささげやツルムラサキのように蔓が支柱に巻きつく野菜は、紐で結ぶ必要はありませんが、トマトやなす、きゅうり、ピーマンのように蔓が絡みつかなくてある程度以上に丈が伸びる野菜は、支柱と茎を紐で軽く結び、苗が倒れたり、風で折れたりするのを防ぎます。特に丈が人の背よりも高く伸びる野菜は、2条植えにして支柱を斜め向かい合わせに立て天辺を紐で結ぶと共に、横木や斜め木も渡し屋根の形に支柱を組む(合掌式)と良いです。野菜は図の●のところに植わっているようにします。(下図参照)
こうすれば風で支柱自体が倒れる恐れも少ないし、内側も中抜になって風通しも良いので、大変好都合です。
 トマトのようにまっすぐ上に伸ばす苗は、縦の棒に茎を紐で固定します。
紐は途中で一回捩り、八の字型にして結びます。こうすることによって、茎側の締め付けは弱くし、支柱側の締め付けは固くするという調整が効くようになります。茎側の締め付けは茎の将来の成長を見込んで多少緩めにすると共に、支柱には紐を最低2回ぐらい巻き付けて、紐が下にずり落ちないようにします。きゅうりのようにわき芽が自由に延びるものに対しては、横木や斜め木も支柱となるのでさらに好都合です。
 また、ささげやツルムラサキのように蔓が自由に巻きついてあちこちに伸びる野菜は、紐で支柱に固定する必要はありませんが、同様に合掌式に組んだ支柱で育てると便利です。ぜひ、一度試して見て下さい。
 一方、なすやピーマン、ししとう等のようにあまり丈の大きくならない野菜は合掌式に組む必要なく、短い棒を1本から数本(ナスは3本仕立てにするので3本)立て、紐は同様に八の字型に捩って支柱にしっかり固定して下さい。
 
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●連作について
連作と連作障害
畑の同じ場所に、同じ野菜や同じ科に属する野菜を連続して栽培することを、連作といいます。連作をすると、野菜が病気にかかったり、収穫量が減ったりします。これを連作障害(忌地現象)と呼んでいます。
連作障害がおこる原因には、以下のものが考えられます。
  1. 連作により、有害土壌微生物や特定の病原菌が増える。
    有害微生物や土壌病原菌にはたくさんの種類があるが、特定の作物に寄生することが多いので、同じ野菜や同じ科の作物を連続して栽培すると細菌の密度が高くなり、病気が発生しやすくなる。
  2. 土壌中の養分に偏りができることで、養分バランスが崩れる。
    同じ場所に、同じ野菜や同じ科の野菜を連続して栽培すると、それらの野菜特有の必須養分(微量要素)のうち、特定の養分のみが不足することになる。不足する成分に応じて特有の症状が現れる。
  3. 土壌化学性ないし物理性の悪化
    養分濃度が高くなるとか土が酸性になるといった化学性の変化や、有機物が少なくなって土の物理的特性が悪くなる(たとえば団粒構造が望ましいが、そうでなくなるとか)。
  4. 毒素の集積
    糸状菌(カビ)やウイルス等が生産する、特定の植物に害を及ぼす毒素が蓄積される。
  5. 植物が根や葉から分泌する特有の物質によるもの
    野菜が自分で分泌する物質が自分自身に有害なもの(生育阻害物質)であることがあるが、連作によりこれが増加する。
連作障害対策
  1. 輪作
    同じ野菜や同じ科の野菜を作らないように計画を立て、畑を区画して、同じ区画に違う種類の作物を組み合わせて順番に栽培する方法です。輪作によって養分吸収や病害虫が違う作物を組み合わせることで、土壌の劣化を防ぎ、連作障害を防止することができます。輪作には栽培する野菜によって周期(年限)があります。年限は本によって色々異なり、きちんと決まっているものではないようです。したがって下表はあくまで目安として考えて下さい。

    休栽期間

    野      菜      名

    連作可能 大根、ニンジン、玉ねぎ、ねぎ、わけぎ、かぼちゃ、にんにく、ラッキョウ、アサツキ、ふだん草、小松菜、正月菜、にら、水菜(京菜)、壬生菜、三つ葉、パセリ、タアサイ、山東菜、ツルムラサキ、サツマイモ、紫蘇、とうもろこし、オクラ、みょうが、ごま、ふき、ラディッシュ(二十日大根)、モロヘイヤ、クワイ、セリ、レンコン
    1年休むもの こかぶ、キャベツ、芽キャベツ、白菜、カリフラワー、ブロッコリー、レタス、サラダ菜、サニーレタス、春菊、青梗菜、ほうれん草、サイシン
    2〜3年休むもの インゲン、ささげ、ソラマメ、千石豆(フジマメ)、小豆、生姜、枝豆(大豆)、イチゴ、ゴーヤ
    3〜4年休むもの なす、トマト、ピーマン、ししとう、唐辛子、メロン、白ウリ、里芋、山芋、はすがら(はすいも)、ごぼう、ジャガイモ、落花生、セロリ、キュウリ
    5年以上休むもの エンドウ、スイカ

    また、連作障害は同じ野菜だけでなく、同じ仲間に属する野菜同士の間でも発生します。したがって、同じ仲間同士での連作もできるだけ避けるようにします。
    参考迄に同じ科に属する野菜の主なものの一覧表を以下に示します。

    科名

    野      菜      名

    ユリ科 ねぎ、玉ねぎ、わけぎ、にんにく、にら、ラッキョウ、アサツキ、アスパラガス
    ウリ科 きゅうり、スイカ、メロン、マクワウリ、ゴーヤ、かぼちゃ、トウガン、白ウリ、ハヤトウリ
    ナス科 なす、ジャガイモ、トマト、ミニトマト、ピーマン、ししとう、唐辛子
    アブラナ科 キャベツ、白菜、青梗菜、小松菜、正月菜、山東菜、水菜(京菜)、タアサイ、サイシン、たか菜、からし菜、かぶ、大根、ブロッコリー、カリフラワー、ラディッシュ(二十日大根)
    キク科 春菊、ごぼう、レタス、サラダ菜、サニーレタス、ふき
    マメ科 エンドウ、ソラマメ、枝豆(大豆)、ささげ、インゲン、ナタマメ、落花生、モロッコ、千石豆(フジマメ)、小豆
    ショウガ科 生姜、みょうが
    サトイモ科 里芋、はすがら(はすいも)
    アカザ科 ほうれん草、ふだん草、オカヒジキ
    セリ科 セロリ、セリ
  2. 接木苗や耐病性品種の利用
    きゅうり、なす、すいか、トマト等について、病気に強い夕顔やかぼちゃを台木にして育てた苗が市販されています。また、最近は品種改良により、病気に強い品種が開発されているのでこれらを利用する。
  3. 堆肥の利用
    土壌成分のバランスが崩れることが原因で起こる連作障害は、色々な成分をバランス良く含む堆肥を利用することにより、ある程度回避できる。
  4. 土壌消毒剤、太陽熱、熱水、蒸気等による土壌消毒
    土壌害虫の防除の観点から、土壌を消毒することが有効です。
  5. コンパニオンプランツ(共栄植物)の利用
    コンパニオンプランツは、混在して植えることでお互いに助け合って成長が順調になる。また、共栄植物は病害虫減らすことにも役立ちます。下表にその組み合わせを引用して示しますので、参考にして下さい。
    作物

    相性が良い作物

    有益な花やハーブ

    相性が悪い作物

    アスパラガス トマト、パセリ バジル、マリーゴールド  
    イチゴ ネギ、ホウレンソウ、レタス、マメ タイム キャベツ
    エンドウ カブ、キュウリ、トウモロコシ、ニンジン、 ラディッシュ、マメ類 チャイブ、ミント タマネギ、ニンニク
    カボチャ トウモロコシ、メロン キンセンカ、マリーゴールド  
    カブ エンドウ    
    キャベツ インゲン、エダマメ、キュウリ、ジャガイモ、 セロリ、タマネギ、トマト、ホウレンソウ、 レタス    
    キュウリ インゲン、エダマメ、トウモロコシ、トマト、 ラディッシュ キンセンカ、マリーゴールド セージ
    サツマイモ ゴマ    
    サトイモ エダマメ    
    ジャガイモ エンドウ、キャベツ、マメ キンレンカ、マリーゴールド  
    セロリ キャベツ、トマト、マメ キンレンカ、チャイブ、ニンニク  
    ダイコン ナガネギ    
    タマネギ イチゴ、キャベツ、トウガラシ、トマト、 ニンジン、ニンニク、レタス カモミール マメ
    トマト アスパラガス、キュウリ、セロリ、トウガラシ、 ニンジン、ニンニク、ネギ キンセンカ、チャイブ、バジル、 マリーゴールド、ミント ジャガイモ、トウモロコシ、 ファンネル
    トウガラシ タマネギ、トマト、ナス、ニンジン、ネギ    
    ナス トウガラシ、ピーマン、マメ マリーゴールド  
    ニラ シシトウガラシ    
    ニンジン エンドウ、タマネギ、トウガラシ、トマト、 マメ、ラディッシュ コリアンダ、セージ、チャイブ、 ローズマリー ディル
    ピーマン マメ    
    ホウレンソウ イチゴ、エンドウ、キャベツ、ラディッシュ、 レタス    
    マメ類
    (つるあり)
    エンドウ、トウモロコシ、ニンジン キンセンカ、マリーゴールド、 ローズマリー キャベツ、タマネギ、 ネギ、ヒマワリ
    マメ類
    (つるなし)
    イチゴ、エンドウ、キャベツ、キュウリ、ナス、 ジャガイモ、ラディッシュ キンセンカ、マリーゴールド、 ローズマリー タマネギ、ニンニク、ネギ
    メロン カボチャ、トウモロコシ、ラディッシュ アサガオ、キンセンカ、 マリーゴールド  

    参考図書:池田書房「楽しい園芸入門 野菜づくり」より引用

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●収穫野菜の保存法
家庭菜園をやっていて悩ましいことの一つに、野菜が一時にたくさん出来て食べきれないことがあります。そんな時は、少しでも長く新鮮に保存でき、おいしく食べることができたら、大変うれしい限りです。また、豆類やイモ類のように収穫した後に長期間かけて消費する野菜もあります。これらを保存する場合、どうすればおいしさを長持ちさせたまま保存することができるかも、悩ましい問題です。そこで、収穫した野菜の保存の方法について、纏めてみました。

野菜名

保  存  方  法

白菜 結球した白菜は寒さに弱いが、畑で越冬させる時は、外側の葉で結球部を包み込むようにしてから、藁かビニール紐を使って鉢巻をするように縛っておくと、外側は傷んでも中のほうは新鮮で長持ちします。
収穫したものを保存する時は、1日陰干ししたあと、新聞紙にくるんで冷暗所に置いておくと長持ちします。
使い切れないで残ったものを保存する時は、ラップにくるんで冷蔵庫へ入れます。
キャベツ 玉は切らないようにして葉を一枚ずつ剥がして使うのが、長持ちさせるコツです。涼しい季節には、新聞紙等で包み冷暗所に置いて保存する。暑い季節には新聞紙に包んでポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存する。
ブロッコリー 空気に触れないようにラップして、横に寝かさないように芯を下にして立てて保存する。
にんにく 何個かを束ねて茎を紐で縛り、日の当たらない湿気の少ない涼しい軒先等に吊るして保存する。湿気が多いと薄皮の中にカビが生えることがあるので注意する。使いさしを保存する時は、バラバラにして、ラップに包んで冷蔵庫に入れておく。
ねぎ・わけぎ 泥付きのねぎは葉を少し出して、斜めに土に埋めておく。そうした場所がない場合には、新聞紙で包み、葉を少しだけ出して立てて保存する。洗ったねぎは新聞紙で包み冷蔵庫へ保存する。
わけぎの種球は5月頃に堀り上げ、日陰の涼しいところで良く乾燥させた後、湿気の少ない涼しい所で保存する。
玉ねぎ 数個の玉ねぎを纏めて茎を縛って日の当たらない風通しの良い車庫や軒先に吊るしておく。買ったねぎは茎がないので、ビニネットに入れて同様に吊るしておくと良い。
アスパラガス ラップ等に包んで水分が蒸発しないようして、冷蔵庫で縦にして保存する。
モロヘイヤ 生のままでは直ぐに萎れてしまうので、さっとゆでた後、良く水切りをしてラップ等に一回分ずつ小分けして冷凍する。
とうもろこし 甘味は日にちが経つにつれて急速に落ちるので、採ったその日のうちに食べるのが理想。高温に弱いので、保存する場合はラップに包んで冷蔵庫に立てて保存する。直に食べない時は茹でて粒のみをほぐし取り、冷凍する。
ポップコーン 収穫後は皮を剥かずに左右両端を紐で縛り、何本かを平行に連ねてすだれ状にして、雨や日の当たらない風通しの良い軒先等に2ヶ月ぐらい陰干しし、十分に乾燥させてから粒をほぐし取り、乾燥剤を入れた蓋の閉まるガラス瓶等に入れて保存する。
小松菜 霧吹き等で湿らせ、新聞紙等でくるんでから、ビニール袋に入れて、冷蔵庫で根を下にして立てて保存する。
だいこん 葉から根の水分を吸収されないように、葉は切り落とした状態で、新聞紙等にくるんで冷暗所に保存する。或いは土のついたまま、葉を切り落として土に埋める。土の上にむしろや藁をかけると尚良い。
にんじん 水気を良く拭いて、ビニール袋等に入れ、夏は冷蔵庫に、冬は常温で冷暗所に置いて保存する。泥付きのものは、葉を少しだけ残して土中に縦に埋めて保存する。
ごぼう 乾燥するとおいしくないので、土に埋めて保存すると良いが、それができない場合には新聞紙にくるんで冷暗所へ保存する。
ほうれん草 軽く水を含ませてポリ袋に入れて、冷蔵庫で立てて保存する。
ささげ 新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室で保存する。
なす 水分が無くならないように1個ずつラップに包み、冷蔵庫の野菜室に保存する。
ピーマン 呼吸ができるように穴のあいたポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存する。温度が下がり過ぎるのは好ましくない。
ししとう ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存する。
トマト まだ青いトマトは常温下で保存すると熟れて赤くなる。赤く熟れたトマトはへたの部分を下にして、トマト同士が触れあわないようにして、ポリ袋の中に入れて口をしっかりと閉めて冷蔵庫で保存する。トマトは重なり合うとその部分から痛むので離して保存する。食べきれない時は、へたをとって皮を湯剥きした上で冷凍保存する。
きゅうり 水気を良くふき取り、ラップして冷蔵庫の野菜室に入れます。水分が多いので、痛めないように冷やし過ぎに注意する。
オクラ 乾燥と低温に弱いので、蓋がきちんと閉まる容器(タッパー等)やジッパーのある袋に入れ、しっかり口を閉じて野菜室で保存する。
さといも 根を乾かした後に親芋と小芋は切り離さないで芋を下向きにして、雨の当たらない土中に保存する。または、洗わないで泥付きのまま、新聞紙にくるんで暗所で保存する。
さつまいも 日の当たらない涼しいところで保存する。寒さに弱く腐ってしまうので冬場は戸外に放置しない。
かぼちゃ 涼しい場所に置いておけば長期間保存できるが、年を越すとかなり味が落ちる。切ったものは傷み易い種を取り除き、切り口にラップをして冷蔵庫の野菜室へ保存する。
レタス 葉の表面についた水は痛みの原因となるので良く拭いた後、湿らせた新聞紙等に包み芯を下に向けて冷蔵庫の野菜室で保存する。
サラダ菜 水分が失われないようにポリ袋に入れるか、湿らせた新聞紙等に包んで芯を下に向けて冷蔵庫で保存する。
セロリ 葉の部分から水分が失われ易いので、葉と茎は切り離してポリ袋に入れ、立てた状態で冷蔵庫の野菜室で保存する。また、水を入れたコップに立てて冷蔵庫に入れたり、霧をふいて新聞紙にくるんだりしても良い。
みつば 新聞紙等にくるんでポリ袋に入れて冷蔵庫で保存する。しかし、三つ葉は風味がなくなり易いので保存には向かない。
しょうが 寒さに弱いので、冷蔵庫は使わないで、新聞紙に包むかポリ袋に入れて冷暗所に保存する。長期保存したいのであれば、そのまま或は摩り下ろして冷凍保存する。
みょうが 基本的に保存には向かない。乾くと香りがなくなるので、冷蔵庫で保存する時は霧吹き等で水気を与える。
パセリ 生のまま冷凍保存するか、乾燥粉末にして湿気が入らないように密閉して冷蔵庫で保存する。
えんどう豆 生での保存には向かないので早めに食べるほうが良い。保存をする時はポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存する。長期保存する時は固めに茹でて冷凍保存する。
春菊 穴あきのポリ袋か、濡らした新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室へ立てて保存する。
 
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●種の保存法
家庭菜園では、種を買っても、菜園が狭い為に種を使い切らずに余してしまう経験が多々あります。次の機会にまた蒔こうとして、余った種を保存するのですが、蒔いてみたところ発芽しなくて困ったという経験は、誰でもお持ちのことと思います。また、自家採取した種をどう保存するかで、悩んだ経験をお持ちの方も多いはずです。
種の寿命は種類によって違いが有り、玉ねぎ等は1年で発芽しなくなってしまいますが、ウリ類や豆類では2〜3年持つものもあります。しかし、どんな種でも保存状態が悪いと発芽率が極端に低下します。そこで、買ったり、採取した種を捨てることなく、有効に利用する為には工夫が必要となります。ここでは、その保存方法をご紹介します。保存のポイントは「日光と高温と多湿は禁物」ということです。
  1. 種を良く乾燥させると共に湿気を寄せ付けない工夫をする。
    購入して使い残した種は袋に入れたまま、直射日光を避けて良く乾燥させます。乾燥後はセロハンテープ等で、切り口を封印し、湿気が入るのを防ぎます。その上で、密閉容器に乾燥剤と共に入れて保存します。
    自家採取した種も同様に日陰で良く乾燥させた後、タッパー、茶筒、薬の入っていた蓋の密封性が良いガラス瓶等に入れて、乾燥剤と共に保存しておくのが良い手立てです。豆類は保存中に虫が発生して、食害されることも多いですから、小さ目のガラス瓶に種を目一杯入れ、完全に密閉することは、その防止にも繋がります。
  2. 保存する容器には、種の種類と採取日を記載。
    容器には必ず種の種類と採取日を記載して、何の種で有効期限内かどうか後で確かめられるようにしておくと便利です。
  3. 冷暗所で保存。
    保存する場所は、@日の当たらない、A乾燥した、B涼しい場所が適しています。また、冷蔵庫で保存すれば、更に最適です。
  4. 取り出し後は早めに蒔く。
    長期保存していた種は外気に晒されることで急速に劣化します。そこで、取り出し後はそのままにしておかず、早めに種を蒔くようにして下さい。

以下に、保存の目安となる種の寿命を記載するので参考にして下さい。但し、これらはあくまで目安であって、保存状態によって変化しますので、留意して下さい。

寿 命

野   菜   名

1年 玉ねぎ、ねぎ、にら、わけぎ(子球)、にんじん、ごぼう、三つ葉、ほうれん草、レタス、サラダ菜、サニーレタス、落花生
2〜3年 ピーマン、ししとう、唐辛子、かぶ、だいこん、ラディッシュ(二十日大根)、白菜、すいか、メロン、インゲン豆、モロッコ、えんどう豆、ソラマメ、千石豆(フジマメ)、ささげ、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、小松菜、金町こかぶ、青梗菜、山東菜、水菜(京菜)、壬生菜、正月菜(餅菜)、タアサイ、サイシン、ツルムラサキ、しそ、とうもろこし、ポップコーン、オクラ、モロヘイヤ、枝豆(大豆)
3〜4年 トマト、ナス、かぼちゃ、春菊(菊菜)、キュウリ
 
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●農薬代わりに使える自然農薬
家庭菜園では農薬を使わず、安全でおいしい野菜を作りたいものです。科学的に合成された農薬は害虫を殺すだけでなく、その毒性がいつ迄も残留物として残り、自然界や人体にも深刻な影響を与える事があります。
ですから、自然に存在し、農薬の代わりに使える自然農薬を使う事が望ましいと考えます。自然農薬は有機質なので、散布してもやがて分解して無毒なものに変わっていきます。ここでは、無農薬栽培を目指す方に、そんな自然に存在し、農薬の代わりに使用できるものについて説明します。
自然農薬 効    果 作り方・使用方法 備    考
木酢液 有用菌が増える為、土壌を改良し病害虫の予防に効果がある(ダニ、線虫や土壌病害を減らす)。また、葉、幹、根を育て植物の生長を促進する他、虫は臭いを嫌い近寄らなくなる。 土壌改良には50〜100倍の希釈液を植付けの7日前迄に散布
病気予防には約1000倍の希釈液を月に2〜3回葉に散布する。
アルカリ性農薬との混用は避ける。
竹酢液 木酢液と同様。木酢液より強い殺菌効果がある。 木酢液と同様。 アルカリ性農薬との混用は避ける
酢酸 殺菌効果があり、ウドンコ病、モザイク病、フハイ病、ナンブ病等に良い。
土中に染み込むと根を太く丈夫にするので、野菜の生育が良くなる。
水1リットル、食酢20ml(またjは40ミリリットル)に石鹸5ミリリットルをまぜて良く振る。
小松菜、ほうれんそう、春菊のような小物野菜には、50倍に薄めた液を1週間おきに2回、キャベツ・白菜等大型野菜には、収穫の1ヶ月前頃に25倍の濃い液をそれぞれ葉面散布する。また、根菜類には25倍の濃い液を収穫前や、越冬前に葉面散布する。
 
タバコの吸い殻 タバコに含まれるニコチンがアブラムシ、ハスモンヨトウムシ等の害虫を寄せ付けない。 たばこ5〜10本を水1リットルに2〜3時間ほど漬けたあと、展着剤として石鹸を混ぜ、その液を散布する。 タバコはウィルス病に感染している可能性が高いので、ウィルス病にかかり易いトマトには使用しない。
収穫時には良く洗ってから食べること。
ビール ナメクジ退治 広口ビンや空き缶に入れて地面に穴を掘り、半分くらい埋めて置く。ナメクジ用の農薬を溶かしておくと効果UPする。  
粉炭・籾殻くん炭 土伝染性の病害。土中の有用微生物を殖やし、病原菌を減らす。 そのまま地面に散布する。  
草木灰 葉の表面がアルカリ性となって、病原菌が寄り付かない。また、臭いを嫌って虫が卵を産みつけない。
病害虫全般に効く。特に、ウドンコ病、モザイク病、フハイ病、立ち枯れ病等に効果がある。
朝露のあるうちに、1週間おきに2回ぐらい葉面散布する。  
牛乳 アブラムシ、ダニ類 牛乳を水で薄めるか、そのまま午前中の葉が乾いている時に、葉面散布する。 牛乳が乾燥して幕を張りアブラムシが圧縮され窒息死する。
マシン油 害虫予防:ハダニ、サビダニ
病気予防:ベト病、サビ病、リンモン病
水1リットルに、マシン油を40ミリリットル、石鹸(展着剤として)を10ミリリットル入れて良くふり、布で漉して作る。
葉面に散布する。
マシン油95%、乳化剤5%の混合製品がマシン油乳剤として市販されている。
スギナ液 抗菌力があり、ウドンコ病、ベト病、サビ病、フハイ病等色々な病気に効果がある。 沸騰した水1リットルにスギナ一握りを入れて、約5分間煮沸させた後、それを冷やして布でこし、それに展着剤として、石鹸5ミリリットルを混ぜる。
葉面に散布する。
スギナより土筆の方が殺菌力が強いので、春先に土筆を摘んで作ると尚更良い。
また、スギナ液1リットルに酢酸40ミリリットルを混ぜると効果がUPする。
米糠 ネキリ虫、ハリガネ虫等土中害虫に効果がある。 土中に米ぬかを一握り入れて土をかぶせておき、1週間後ぐらいに掘り起こして焼却する。米ぬかの甘い匂いで害虫を誘引する。  
アセビ液 ネキリムシ、アオムシ、ハスモンヨトウムシ、ハモグリバエ、オケラ等 あせび(馬酔木)の葉を一握り(数枚)と水1升を(1.8リットル)を5分間沸騰させてから冷まし、これを布で濾してから展着剤として石鹸10ミリリットルを混ぜる。
葉面に散布する。
使用するあせびの葉は生の方が効果が高い。
アセビ団子 米糠の甘い匂いで害虫を誘引し、害虫がこれを食べて死ぬ。ネキリムシ、ハリガネ虫等土中の害虫に効果がある。 アセビ液に米ぬかを入れ、つなぎに小麦粉を多少混ぜて団子にする。これを天日に数日間干す。 5ヶ月位有効
食用油 アブラムシ、ダニ類 水1リットルに、食用油を30ミリリットル、展着剤に石鹸水を10ミリリットル入れて混ぜる。
午前中の葉が乾いている時に、葉面散布する。
 
唐辛子液 モザイク病、リンモン病等 唐辛子一握りに熱湯を約1リットル入れ、丸1日置く。これに石鹸5ミリリットルを混ぜて、布で漉す。
葉面散布する。
 

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